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2023.02.07

「人材育成」で業界貢献へ、教育事業に乗り出す/バイナス

ロボットを使いこなす人材をいかに育てるか

  • ロボットSIerとして多様なシステムを構築する

  • バイナスが提供するロボット実習装置「ロボトレーナ」

 バイナスはこれまで、ロボットSIerと教育機関向けの教材販売の2本柱で事業を展開してきた。中でも、FA技術の教材や実習装置の分野では30年以上の実績があり、SIerのスキル標準の策定やFA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)の立ち上げにも携わった。

 永井取締役は「これまでも企業や教育機関向けに講習をしてきたが、あくまで個別に要望があった時に対応するだけだった。だが、SIer協会の設立や協会内での活動を通じ、ロボットを使いこなす人材をいかに育てるかが重要だと改めて実感した」と振り返る。
 教材制作のノウハウを持つ同社ならではの業界貢献の一環で、新井センター長が率いる「教育センター」を昨年春に発足。ロボット導入企業からSIerまで、より幅広い顧客層に対して積極的に講習を実施することで、人材育成という観点から製造業の自動化促進に貢献したい考えだ。

コンテンツを繰り返し改善

永井伸幸取締役(右)と新井裕二教育センター長

 実は、2019年に第二工場を竣(しゅん)工した時から、教育事業に取り組む構想があった。第二工場の2階に実習施設を設けたのもその一環だった。しかし、その翌年から新型コロナウイルス禍が猛威を振るう。対面型の講習がほとんど開催できず、教育事業は思わぬ壁にぶつかった。
 構想が再始動したのは、感染症が落ち着きを見せ始めた昨年春ごろから。新部署として教育センターを立ち上げ、新井センター長が中心となって講習のカリキュラムの企画立案を進めた。大枠のコンテンツも固まったため、今年から教育事業を本格的に乗り出した。

 今後は講習の受講者の反響を聞きながら、カリキュラムのコンテンツを繰り返し改善する考えだ。また、講習テーマの拡充も大きな課題で、将来的には協働ロボットや自律走行型搬送ロボット(AMR)、人工知能(AI)などの最先端技術に関する講習の企画も視野に入れるという。
 「新たに立ち上げた教育事業は、既存のSIer事業や教材販売事業との相乗効果も期待できる。講習と教材をセットで販売したり、ロボットシステムの納入と講習をセットで提供したりと、より付加価値の高いソリューションを提案できる」と新井センター長は強調する。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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