[SIerを訪ねてvol.29]最新技術で高度な自動化を/愛知産業
オリジナル製品も活用
製造現場の自動化や合理化のニーズは高く、幅広い。同社のSIerとしてのスタートは、得意の溶接や研磨の分野からだった。同分野でのエンジニアリングには、長年の経験とノウハウがある。その蓄積を生かし、高度な自動化やロボット化を実現している。
FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)には、同協会の設立一年後の2019年に加盟した。しかしそれ以前も、10年以上前から同分野のシステムインテグレーションに対応してきた経験があり、案件も増えていた。
社内にはロボットインストラクターもおり、「機器単体の販売のみならず、顧客の困り事を解決するトータルソリューションを提案することを基本としている」と、井上社長は自社のSIer事業の特徴を述べる。
搬送や加工、検査などの作業の先端機器を使った自動化から、ロボットシステムを使った自動化など、手掛けてきた案件は数多い。
実績としてはAKグラインダを使った研磨作業の自動化だけではもちろんない。溶接現場の品質向上や生産量拡大のために、商材であるスパッタ(溶接時に発生する溶融金属の粒子)レス電源やロボットを使用して、20%以上の時間短縮や手直し作業のゼロ化などを実現する自動化システムを開発。自社の強みを存分に生かして顧客ニーズに応えるなど、さまざまな成功事例を積み上げている。
また、溶接分野だけでももちろんない。機械加工の際にワーク(被加工物)を固定するバイス(万力)の商材と協働ロボットを組み合わせ、工作機械と組み合わせて使える段取り自動化システムは、長時間の無人稼働を実現するパッケージ製品として好評だ。
ファナック製の協働ロボット「CRX」と、自社設計の台車を組み合わせたパッケージは、現場の声に応えることを徹底して開発したユーザー目線重視の製品。他にも、人工知能(AI)を活用したAI画像検査システムを開発するなど、SIer事業で必要な機器や装置などのオリジナル製品のラインアップ拡充にも注力しつつ、SIer事業の充実を図っている。