[特集 国際ロボット展vol.9]具体的なイメージで呼び込む/ダイドー、山善
約2割が協働ロボット
大手商社の山善は昨年4月、工場の自動化ソリューションを幅広く扱うTFS(トータル・ファクトリー・ソリューション)支社を設立した。ロボットシステムを提案する部署として2019年に立ち上げたFAE(ファクトリー・オートメーション・アンド・エンジニアリング)支社と、18年から広く自動化を提案するSFS(スマート・ファクトリー・ソリューション)支社を統合したもので、人員を増強し顧客情報を共有することで売り上げ増を狙う。
TFS支社の中山勝人副支社長は「最近は金属加工業界でも三品業界でも人手不足が深刻化し、自動化のニーズが高まっている」と話す。いずれの業界でも安全柵を設置するスペースを確保できないなどの課題があったが、「柵が不要な協働ロボットのメーカーや機種が増え、エンドユーザーの現場への導入も増えた。リピーターも出だしている」と手応えを口にする。
TFS支社が販売するロボットの約2割が協働ロボットだが、タクトタイムの条件や作業内容の要求が厳しい場合がある。営業マン単独では売りづらく、パッケージ開発やタクトシミュレーションができる技術スタッフのサポートが欠かせない。
壁を突破する手助けを
今回の国際ロボット展には、協働ロボット3台を含む合計5台のロボットを出展する。
人工知能(AI)ベンチャーのアセントロボティクス(東京都渋谷区、久多良木健最高経営責任者〈CEO〉)が開発したAIで3種類の対象物を認識しピッキングするシステムは、協働ロボットと産業用ロボットの2通り紹介する。AIの具体的な活用法を示すとともに、ティーチングレスで動作する協働ロボットは「ティーチングの手間」の壁を突破する。
AIを搭載せずにピッキングをする協働ロボットの他、マイクロメーターで丸物の対象物を自動測定し、良品か不良品かを検査する協働ロボットも展示。その他、産業用ロボットにファイバーレーザーユニットを装着して鋼板を切断するシステムも提案する。いずれも人の作業をロボットに置き換えるアプリケーション例だ。「ロボットの使い方をイメージするのは案外難しい。その壁を突破する手助けとしたい」と話す。
「来場者に『山善のTFS支社に任せれば、さまざまな困りごとに応えてもらえる』と思ってもらえるよう、バリエーションに富んだシステムとした。是非実際にブースで見てもらいたい」と中山副社長は意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希、桑崎厚史)
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