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2022.02.09
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[ショールーム探訪vol.4]弱点を打破した、始まりの場所【前編】/オフィスエフエイ・コム「スマートファクトリー・コンダクター・ラボ(スマラボ)小山」

SIerの弱点

 到着すると、スマラボ小山で産業用ロボットや機械の操作を担当する女性スタッフが出迎えてくれた。普段は顧客の営業担当者が説明を担当し、女性スタッフさんが操作や段取りを担う。  オフィスエフエイ・コムは、電気設計やソフトウエア開発の技術者だった飯野社長が1997年に始めたSIer。99年に法人化し、専用機の設計や製造も担ってきたが、今でも電気制御やソフトウエアに強みを持つ。  特に、「インダストリー4.0やモノのインターネット(IoT)のような、生産設備にIT技術、デジタル技術を組み込む流れが強まり、電気やソフトの重要性が高まった。これがわが社に追い風」と飯野社長は話す。

「技術を惜しみなく披露する施設が要る」と飯野英城社長

 一方、SIerの弱点も認識していた。「SIerは、自社の技術力を具体的に見せる場がない。顧客の設備を公開できない。技術を惜しみなく披露し、SIerも学ぶための施設が要る」。そこで、2018年5月にスマラボ小山を開設した。  IoT機器を販売するFAプロダクツ(東京都港区、貴田義和社長)と、ロボットシステムの大枠を決める構想設計が得意なロボコム(東京都港区、天野真也社長)との3社共同で運営する。

4つのゾーン分け

 スマラボ小山では、バスケットボールのコート1面ほどの大きさを、「自動車・機械ゾーン」「食品ゾーン」「IoTゾーン」「物流ゾーン」に4分割し、それぞれテーマに沿ったシステムを展示する。  常時10個を超える展示で、産業用ロボットを使った自動化やIoTシステム、無人搬送車(AGV)を実演する。  特定のメーカーのロボットのみでシステムを構築するSIerも少なくないが、同社はどのメーカーのロボットでも請け負える。  展示にもファナックや安川電機、三菱電機、セイコーエプソン、デンソーウェーブ、ユニバーサルロボットなどさまざまなメーカーのロボットを使った。

入って左側が「物流」と「自動車・機械」ゾーン
同じく右側が「食品」と「IoT」ゾーン
後編では、個別の展示を深掘りする。ただ「店運」の無さが…

 「スマラボは売りたい商品を展示するショールームではなく、ロボットと他の周辺機器をいかに組み合わせれば効果的か検証し、その成果を紹介する施設。特定のメーカーとのつながりがないので、検証した結果、本当に良いと思ったシステムだけを提案できる」と飯野社長と胸を張る。  後編では、いよいよ個別の展示を深掘りする。しかし、ここでも「店運」の無さが発揮されてしまう。厳密には「店」ではないが……

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

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