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2022.02.07

連載

[注目製品PickUp! vol.38]システム立ち上げから稼働までをシンプルに【前編】/伊東電機「id-PAC」

モジュールが搬送路を考える

ポイント・アンド・クリック操作時の画面

 パソコンを使った機能として「Point and Click(PAC、ポイント・アンド・クリック)」がある。パソコン上に表示されたモジュールのアイコンを並べるだけでコンベヤーの設計が完了するため、設計に掛かる負担を軽減できる。id-パックの名称はこの機能に由来する。

 id-パックには、モジュールごとの動作に必要な制御プログラムがデバッグ(バグを除去)した状態であらかじめインストールされている。パソコンで組み上げた経路データを転送し、モジュールをレイアウト通りに接続するだけで稼働ができ、負担が大きいプログラム作成が不要になる。

パソコンと連動して負担軽減

id-パックに使用するのは「IB-E05」(写真)の他に「IB-E09」の2種がある

 各モジュールのコントローラーにはIPアドレス(インターネット上の識別番号)が設定される。パソコンで稼働状況や搬送物の情報を可視化でき、遠隔地でも確認できる。広報担当者は「id-パックは物だけではなく、情報も運ぶツール」と語る。

 それぞれをコントローラーで制御することで、「自律分散制御」ができるようになった。自律分散制御とは、パソコンなどの上位機器からの指令がなくとも、モジュールが自律して動作を制御、監視ができる技術だ。先行する搬送物が障害物に引っ掛かって止まるなどのトラブルが発生した際も、オペレーターが指示することなく、モジュール同士が通信して新たな搬送経路を生成する。
 搬送する時に使用しないモジュールは稼働を停止して、動かす必要があるモジュールを個別で稼働できるので、電力消費量を抑えて省エネにも貢献する。

 トラブルが発生した際には、どのモジュールでどのようなトラブルが起きたかをパソコンに表示。インターネットに接続できるため、リモートでの対処も可能だ。

 後編では、id-パックの核になるパワーモーラやid-パックの導入事例などを紹介する。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)



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