[特集 国際ロボット展vol.13]海外メーカーやヒト型の展示も
3種類のデモで活用事例紹介
ヒト型ロボットを展示する企業も複数あり、各社とも大きな注目を集めた。 カワダロボティクス(東京都台東区、川田忠裕社長)は今回、3種類のデモを通じてヒト型ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」の活用事例を紹介した。 一つ目は、ネクステージ3台を利用した日用品の箱詰めの自動化デモ。大手日用品メーカーの現場をイメージしたラインを構築し、3台のネクステージが日用品の搬送や段ボール箱の組み立て、箱詰め、日用品が入った段ボール箱の運搬などの作業をそれぞれ担った。 二つ目は、血液検体のマテリアルハンドリング(運搬やその付随作業)のデモ。システムの設計はSIerの日本設計工業(浜松市北区、名倉慎太郎社長)が担当した。 三つ目が、顔認識などの最先端の人工知能(AI)技術を駆使した、東京農工大学とのコラボレーション展示だ。「次の次ぐらいを見据えた。人とヒト型ロボットのインタラクション(交流)を研究する研究室と手を組み、ヒト型ロボットの新しい可能性を示した」と川田忠裕社長は話す。いずれのデモも大勢の来場者でにぎわった。
人の動作をロボットが再現
トヨタ自動車は、ヒト型ロボット「T-HR3」を披露した。身長154cm、重量75kg、32軸制御で10本の指を備える。専用の操縦装置を人が装着すると、操縦者が動いた通りにヒト型ロボットも動く。マスタースレーブと呼ばれる制御技術を応用したシステムだ。 将来的なT-HR3の用途について、森平智久ヒューマノイドロボットグループ長に尋ねると、「まずは日常生活を支援するロボットを目指す。例えば、遠方に住む介護が必要な人を遠隔操縦で支援する場面を想定する。その先のステップとして、人間の代わりに危険な場所で作業をすることも視野に入れる」と話した。
ヒト型とスカラ型の2種類の双椀ロボット
東芝機械もヒト型とスカラ型の2種類の双腕協働ロボットを参考出品するなど、最新技術を披露した。両機種とも、可搬質量は片手で6kg、両腕で合計10kg。 他にも、2019年12月に発売した新型のスカラロボット「THE600」の提案に力を入れた。従来機と比べ、最大動作速度を約3割向上し、最大可搬質量も12kgと増やして基本性能を高めた。 同期制御の追従精度を高めたロボットコントローラー「TS5000」を用い、高速ハンドリングのデモも展示。正確な移動軌跡と高速性で来場者の目を引いた。