[注目製品PickUp!vol.11]製造現場でもヒト型を【前編】/カワダロボティクス「NEXTAGE」
顔と両手にビジョンセンサーを標準搭載
ボディーの上にある「顔」には両目の替わりになるステレオ・ビジョン・センサーが付き、両手の先にもそれぞれビジョンセンサーが付く。搬送などの対象物を置くトレーに貼られた識別マークは顔のセンサーで読み取り、細かい作業には手先のセンサーを活用するなど、使い分けが可能だ。
「ビジョンセンサーもコントローラーも全て一体化したオール・イン・ワンの製品で、個別のセットアップや調整が要らないため人の作業を手軽に置き換えられる」と藤井課長は話す。
ハンドは専門メーカーの市販品や、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が製作したものも使えるが、標準ハンドも用意する。ハンド部分を自動交換できるツールチェンジャーなどのオプションも用意した。
未発売の参考製品だが、ネクステージを無人搬送車(AGV)に載せて自動で移動できるようにした「ネクステージモバイル」など、新たな使い方も模索する。AGVの停止位置に多少の誤差があっても、ビジョンセンサーでそのずれを認識して補正するため、問題なく作業できる。
18年にリニューアルして性能アップ
ネクステージは80W以下の低出力のモーターを使うことで、安全柵なしでの稼働を可能にしているロボット。「小さいモーター出力のままで可搬質量を上げて動作を速めるのは難しいが、構造などの見直しで実現できた。腕は太くなったが、ヒト型のフォルムが崩れたり、威圧感が出るほどではなく収められた」と藤井課長は言う。
その他、ビジョンセンサーの通信規格もUSB2.0からUSB3.0へと刷新。高速で通信できるため、複雑な画像認識などの速度を高められる。
パワーを上げてもヒト型のフォルムは崩さない。それほどまでにヒト型にこだわるカワダロボティクスだが、産業用ロボットメーカーではなかった同社はそもそもなぜヒト型ロボットを作り始めたのか。後編では開発の経緯や技術の系譜をひも解き、ネクステージの魅力を深掘りしていく。
――後編へ続く
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)