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2020.07.08

UR協働ロボ向け製品を発表/SMC

空圧機器メーカーのSMCとデンマークの協働ロボット大手ユニバーサルロボット(UR)の日本支社(東京都港区、山根剛代表)は7月7日、ウェブ会議システムを使って共同会見を開催。協働ロボット向けのエアチャック式グリッパー「JMHZ2-X7400B」が、URの公認周辺機器「UR+(プラス)」の認証を取得したと発表した。同グリッパーは5月29日に発売した新製品で、今後は他にもUR製ロボット対応製品のラインアップを増やす方針だ。

小型・軽量で安全性にも配慮

動作の様子(SMC提供)

 JMHZ2-X7400Bは空圧で爪を動かし、対象物を把持するグリッパー。コンプレッサーで生み出された圧縮空気を動力源にする。
 エアチャック式グリッパーは、爪を動かすためのモーターや油圧機器を搭載しないため、同様の把持能力を持つ電動式や油圧式よりも小型で軽量なのが特徴だ。今回の製品も質量430g。協働ロボットは可搬質量があまり大きくない製品が多いが、グリッパーの質量を抑えることで、その分重い対象物を持ち上げられる。

 同製品には、後付けする樹脂製のカバーが付属する。人の近くでも使う協働ロボット向けのグリッパーなので、安全に配慮して丸みを帯びたデザインにした。

UR製ロボットへの「JMHZ2-X7400B」の接続方法(UR日本法人提供)

 初心者でも簡単に扱えるよう、UR製ロボットへの接続や設定を簡単にした。グリッパーに接続する配線はエアと電力の2本だけ。グリッパーに付属するUSBメモリーから追加機能をインストールすると、UR製ロボットの教示をする専用ソフトウエア「Polyscope(ポリスコープ)」上からグリッパーの稼働設定もできる。
 SMCの従来の主要顧客層である自動車、電機・電子、金属加工業界だけでなく食品、化粧品、医薬品の「三品業界」など新たな業種での用途の開拓を目指す。三品業界向けに衛生面の認証などを今後取得する予定だ。

協働ロボットの市場拡大に期待

左からSMCの石橋康一郎技術本部開発第9部長、UR日本支社の山根剛代表、SMCの森川文夫執行役員、同長谷川素永執行役員

 SMCは協働ロボット市場の拡大に期待する。営業本部部長兼国内営業部長の長谷川素永執行役員は、「世界中で労働人口が減少する中、協働ロボットにより、ロボット導入のハードルが下がった。今後の製造業の主流になるであろう多品種少量生産にも協働ロボットは向く」と話す。
 協働ロボット向けを強化する一環で、協働ロボットの世界大手であるUR向け製品を開発した。今後は他のグリッパーや真空吸着式のロボットハンドなどでもUR製ロボット向けのラインアップを増やす方針。

 URは、自社製ロボットの機能を高めたり、拡張する製品をUR+として認定している。現在までにロボットハンドなどのエンドエフェクターや各種センサー、関連ソフトなど、245以上の製品を認証した。
 UR+の認証には、UR製ロボット本体と周辺機器を接続するインターフェースの仕様や、プログラム言語をURの規定に合わせる必要がある。そのため、UR+の認定製品は他の製品に比べ、簡単にUR製ロボットと組み合わせて使える。
 日本企業の製品がUR+に認定されたのは、これで5社5製品目となる。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

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