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2019.01.09
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[気鋭のロボット研究者vol.4]AIで物の形から使い方を推定【後編】/中京大学橋本学教授

全自動お茶たてロボットが話題に

シーテック・ジャパン2018で披露したAIロボット

 機能認識のAIシステムなどを生かし、橋本教授は全自動でお茶をたてるAIロボットも開発。18年10月16日~19日の4日間にわたり千葉県美浜区の幕張メッセで開催された家電見本市「CEATEC Japan(シーテック・ジャパン)2018」で、産業技術総合研究所(産総研)の小間にAIロボットを出展し、大きな話題を呼んだ。  AIロボットは2台の多関節ロボットと3つのセンサーで構成。「この中に、特定物体認識と一般物体認識、機能認識の全ての要素を取り込んだ」と橋本教授は強調する。  お茶をたてるには、粉末の抹茶を茶さじですくって湯飲みに入れたり、お湯をひしゃくですくったりと、さまざまな工程がある。これらの工程をロボットが実行するには従来、一つ一つの工程に対し複雑なプログラムを組む必要があった。  だが、橋本教授が披露したAIロボットは、ロボットが茶道具の名前だけではなく、その位置や姿勢、そしてそれぞれの茶道具が持つ機能も含めて認識できる。人が複雑なプログラムを組まなくても、ロボット自らが最適な手順でお茶をたてることができる。

実演には黒山の人だかり

ロボットが全自動でお茶をたてる様子に大勢の来場者が関心を寄せた

 会場では定期的に、AIロボットがお茶をたてるデモを実施した。デモの様子をひと目見ようと産総研の小間には黒山の人だかりができた。「かなり多くの集客があった。海外のメディアからも数多く取材を受けた」と橋本教授は胸を張る。  とはいえ、機能認識の研究はまだ始まったばかりだ。先行研究の事例も少なく、未知の領域が多いという。  橋本教授は「一般家庭だけではなく、製造現場でもスパナやレンチなど各種工具の認識に機能認識が応用できそう。今後も研究を続ける」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部)

橋本 学(はしもと・まなぶ) 中京大学 工学部 機械システム工学科 学部長・教授 1987年大阪大学大学院工学研究科前期課程修了、同年三菱電機入社。2008年中京大学情報理工学部機械情報工学科教授。13年から同大工学部教授。17年4月には工学部長に就任。趣味は旅行やドライブ、ギョーザ作り。1962年大阪府生まれ。 ※この記事は「月刊生産財マーケティング」2019年1月号に掲載した連載「今に花咲き実を結ぶ」を再編集したものです。 関連記事:[気鋭のロボット研究者vol.4]ロボットに物体を認識する“目”を【前編】/中京大学橋本学教授

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