[進化する物流vol.7]最先端が一堂に、国際物流総合展リポート【その4】
トラックへの積み下ろしまで/トヨタL&Fカンパニー
豊田自動織機のトヨタL&Fカンパニーは、トラックへの荷積みや荷降ろしまで自動でできる無人フォークリフトを会場で発表した。 従来から定位置での荷役作業(入出荷に際しての積み降ろし)は無人フォークリフトでできたが、トラックの停車位置は一定ではなく、トラックへの積み降ろしの自動化はこれまで難しかった。 今回開発した無人フォークリフトでは、トラックの停車位置を把握して、自律的に走行ルートを判断して接近し、積荷の位置や姿勢に合わせてフォークを差し込む。3D-LiDAR(ライダー)と呼ばれるセンサーで周囲の状況やトラックの停車位置を把握し、画像認識や深層学習の技術を活用してパレット(荷役台)の位置や姿勢を検出する。パレットにはマーカーなどの目印は不要だ。 2019年から実証実験と技術検証を重ねてきた技術で「熟練作業者なら1分でできる作業に、当初は5分ほどかかっていたが、安全機能の強化による動作速度の向上や、センシング後のデータ処理の改良により、2分まで短縮できた。早期の市場投入を目指す」とR&Dセンターの片江健一AR開発部部長は言う。
ハンド選択から自律的に/OSARO
産業向けの人工知能(AI)システムを開発する米国のOSARO(オサロ、日本法人=東京都千代田区、デリック・プリッドモア社長)は、3社のブースで実演展示した。 1つはIHI物流産業システム(東京都江東区、笠俊司社長)の小間で、容器内に無造作に置かれた物を取り出す「ばら積みピッキング」の進化した姿を見せた。 複数種類の物品が大量に入り、重なった状態のケースから、AIビジョンセンサーが取りやすそうな対象物の形状や姿勢を見極める。その上で、把持に適したロボットハンドを考えて、付け替えて取り出す。ハンドを付け替える時間を省くために、同一のハンドで把持しやすい対象物を優先的に取り出す。 また、米国の包装機器メーカー、Sealed Air(シールドエアー)の小間では、自動梱包機「オートバック600」とオサロのばら積みピッキングシステムを組み合わせた。 さらに、野村不動産のブースでは、日本トーカンパッケージ(東京都品川区、浅名弘明社長)やオフィスエフエイ・コム(栃木県小山市、飯野英城社長)、TakuTech(東京都文京区、山崎整社長)とオサロがタッグを組んだ。 紙製の箱の組み立てから搬送、商品投入、封かん、送り状の貼り付けまで一連の出荷工程を全自動化するシステムを展示した。厚さ2cmほどの薄型の段ボールを使って同工程を実現したのは、世界でも例が少ないという。 オサロの河本和宏ソリューションエンジニアリングディレクターは「アイテムのマスター登録をしなくてもすぐに使える。混載荷物の選別や梱包工程では、AIのばら積みピッキングシステムの実績が出てきて、有用な用途と感じている」と手応えを話す。