[沖縄ウィークvol.2]「日本最南端のSIer」が見た沖縄市場のチャンス/カサイエレック
日本最南端のSIer
沖縄県内に本格的な事務所を持つSIerはほとんどない。カサイエレックにとっては、沖縄市場を開拓する大きなチャンスだ。 しかし、ほとんどのSIerが沖縄県に進出しないのには、それなりの理由がある。立花所長は「仕事量が少なく、沖縄以外の本土と同じ基準で製作した自動化システムだと、下手すれば1カ月分の仕事量を10日でまかなえる。自動化システムを導入したからといって、システムの能力を十分に発揮できる仕事量を確保できる客先もほとんどない。こうした市場性を踏まえると、沖縄県だけではSIerのビジネスを成立させるのは難しい」と分析する。 それでも、カサイエレックは進出に踏み切った。なぜだろうか。「カサイ製作所もわが社も、愛知県という製造業の集積地に本社を構える。そこで培った盤石な体制があるからこそ、沖縄県のビジネスにも対応できる。本社スタッフと人材交流や技術交流ができるのもプラスになる。『日本最南端のロボットSIer』(同社調べ)とのキャッチコピーもよい」と立花所長は述べる。 沖縄事業所を開設して約3年。当初は無電極ランプの製造、販売が中心だった。しかし、食品関係を中心に工場の自動化案件も具体的な引き合いとなってきた。飲料やビール用の王冠や一斗缶などを製造、販売する那覇王冠(沖縄県糸満市、玉城<たまき>幹雄社長)に自動化システムを納入するなど、実績も着実に積み上げている。 最後に「沖縄県でのビジネスで重要なことは?」と問うと、立花所長は「沖縄県の市場の特性を理解したうえで、いかに顧客と妥協点を探るかが重要。例えば大きな費用をかけて全自動のシステムを組むのではなく、一部の工程だけを自動化する。『割り切るところは割り切る』という考え方を理解してもらうため、顧客とは深くコミュニケーションを取らなければならない」と語る。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)