[特集 国際ロボット展vol.14]工作機械や測定機器メーカーも自動化システムを積極提案!
人手不足の物流業界に積極提案
物流の省力化提案に力を入れる西部電機は、箱の積み下ろし(パレタイズ・デパレタイズ)ロボットシステム「ファインピッカーC」と、自動倉庫「RIOシステム」の組み合わせを提案した。パレット(荷物を積む台)上の箱をファインピッカーCで荷下ろしし、RIOシステムに移す作業を実演した。 上部カメラで画像認識することで、決まったパターンで敷き詰められていない端数の箱も効率よく荷下ろしできる。吸着方式のロボットハンドを使用し、可搬質量は30kg。1時間で最大600箱を扱える。ファインピッカーCは直交型のシンプルな構造のロボットシステムで、垂直多関節ロボットを使ったデパレタイジングシステムより低コストで導入できる。 同社ブースでプレゼンテーションを担当したマテハン事業部営業部の保坂有亮さんは「最初から全てを自動化するのは難しいが、自動化しやすいところから提案していきたい」と話す。
部品だけでなくロボットシステムまで提案
THKは機械要素部品のメーカーで、同社製の回転軸受けや直動案内機器はロボットにも使われるが、国際ロボット展では要素部品だけでなくそれら技術を応用したロボットハンドやロボットシステムも提案した。特に、ピッキングロボット用のハンドシステム「PRS」や、自律移動搬送ロボット「SIGNAS(シグナス)」のアピールに力を入れた。 PRSは、対象物に合わせた多種多様なハンドでロボットによるピッキングをサポートするもの。今回展ではドラッグストア向けに構築したシステムを展示し、来場者の人気を集めた。 シグナスは、主に建設現場向けの搬送ロボットで、段差やスロープなどがあっても使える。導入や立ち上げが簡便なのも特徴だ。他にも、製造業向けモノのインターネット(IoT)サービス「OMNIedge」(オムニエッジ)など、多彩な展示でブースを構成した。
センサーユニットで繊細な作業を自動化
SIer協会、会期中に多数のイベントを開催
会場内には各SIerのブースに加え、SIerの業界団体であるFA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会、会長・久保田和雄三明機工社長)もブースを構えた。今年の夏以降にまずは3級から開始する、ロボットのシステムインテグレーション(SI)に関する資格制度「ロボットSI検定」などを紹介した。 「3級は、ロボットの操作やシステム構築に関する基礎知識を問うもの。業界の新人技術者だけでなく、高等専門学校などの学生にもぜひとも受けてもらえれば」と人材育成分科会の主査も務める渡辺亙副会長(バイナス社長)は語る。 会期中にはイベントも多数開催し、会期3日目の20日には、国際ロボット展の会場近くのホテルで、タイのSIer団体「TARA」や、タイ・ドイツ研究所の傘下組織である「CoRE」などと会合を開いた。会合では、SIer協会やTARA、CoREが団体概要をそれぞれ紹介した他、タイに拠点を持つ日系企業が自社の取り組みを発表した。活発な情報交換を通じて、日本とタイのSIer関連企業同士が交流を深めた。 SIer協会の久保田会長は冒頭のあいさつで「この機会を利用してタイの企業と今後、どのような協力関係ができるかを話し合い、有意義な会合にしたい」と話した。 また、最終日の31日には会場内特設ステージで、高校生がロボット活用のアイデアを競い合う「ロボットアイデア甲子園」の全国大会も開催。各地域の予選を勝ち抜いた11人が各々のアイデアを発表し、「自転車整理ロボット」を提案した南関東代表の山梨県立甲府工業高等学校に通う加藤勇典さんが最優秀賞に輝いた。
――続く
(国際ロボット展取材班)
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