2023.06.09
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[特集 工場物流を刷新せよ!vol.7 ]一巡して一段高いステージへ/日本物流システム機器協会 下代博 会長

トレンドはAGVやAMR

 技術的なトレンドとしては、無人搬送車(AGV)や自律走行型搬送ロボット(AMR)などが最近増えている。AGVやAMRは部品や部品を入れた通い箱、製品などを単体で搬送するタイプもあれば、箱を積み上げたパレット(荷役台)ごと搬送するタイプ、モノを収納した棚ごと搬送するタイプなど多種多様だ。シンプルな搬送から、部品・製品の入出庫、仕分けなど、用途も幅広い。  搬送設備として考えると、AGVやAMRは間欠的な装置と言える。コンベヤーは連続的にモノを搬送でき、非常に効率的だが、固定設備であるため作業者の導線が制限される側面もある。一方、AGVやAMRなら間欠的な搬送となり、人の導線を遮断せずに稼働させられる。また部品の入出庫などに使う場合、入出庫の速度や面積当たりの保管効率なら、自動倉庫の方がはるかに高いが、AGVやAMRには初期投資を抑えられ台数次第で柔軟に処理能力を調整できるなどのメリットもある。  また、作業の多くを人が担うとしても、デジタル・ピッキング・システムやデジタル・アソート・システムを使えば、人為的ミスを防止できる。こうしたシステムは、これまで主に流通業で使われてきたが、最近は製造業での活用も増えている。  マテハンシステム・機器にはさまざまな種類があるが、処理能力や作業頻度、工場のレイアウトなどに合わせて、適材適所で使うことが大切だ。工場設備の主役は工作機械などの生産設備であるが、それをどう生かして、最大限に能力を高められるかは、その前後のマテハンシステム・機器の活用に懸かっていると言っても過言ではない。人体で言えば、生産設備は臓器で、マテハンシステム・機器は、それをつなぐ血管だと言えるのではないか。  過去に工場を自動化してから、その後、あまりシステムを見直していない場合も少なくない。しかし、マテハンシステム・機器は、日々進化している。既存設備が稼働中だったとしても、一部ユニットのリニューアルによる生産性向上や、周辺作業のさらなる自動化など提案できることは多い。是非、マテハンという分野に今一度、目を向けていただきたい。

(ロボットダイジェスト編集長 八角 秀)

 

下代 博(げしろ・ひろし) 1983年同志社大学経済学部卒業、大福機工(現ダイフク)入社。2012年執行役員、15年取締役常務執行役員、18年代表取締役社長 社長執行役員。21年5月に日本物流システム機器協会会長に就任。大阪府出身。64歳。

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