[特集 国際ロボット展vol.6] この分野が熱い【その2】物流・マテハン/オークラ輸送機、IHI物流産業システム
3次元ピッキングシステムを提案
物流システムの総合的なシステムインテグレーション(SI)に強みを持ち、自社のマテハン設備を使った物流ソリューションをアフターメンテナンスまで一貫して提案するIHI物流産業システムの目玉は、3次元ピッキングシステム「Skypod(スカイポッド)」だ。フランスの物流機器ベンチャー企業、エグゾテックソリューションズ製で、日本市場ではIHI物流産業システムが販売、システム構築を手がける。 今回展のコンセプトは「人手不足の解消と重労働からの解放」。人手不足の物流現場で重労働として知られるのがピッキング(荷ぞろえ)作業で、その課題解決に画期的なシステムを提案する。ターゲットは多品種を扱う高稼働な物流倉庫だ。モックアップを展示し、動画や資料を駆使してアピールする。 「ピッキング業務では、人が歩き回って品物を集めるのではなく、人のもとに品物を集める『Goods to Person(グッズ・トゥ・パーソン)方式』がトレンド。展示会で紹介すると、同方式を実現するスカイポッドへの関心は高い」と営業企画部の今村壮壱課長は話す。特にスカイポッドは、競合製品に比べレイアウトの自由度が高い。ピッキングロボットが倉庫内を前後、左右、さらに上下と縦横無尽に移動する。まさに「3次元」なのが最大の魅力だ。
作業スピード5倍も
システム構成としては、専用の棚(ラック)と人が作業するピッキングステーション、品物の搬送を担う無人搬送車(AGV)型の「Skypodロボット」、専用バケットを中心に、急速充電機や安全柵などの周辺装置からなる。最大の特徴は、Skypodロボットが自律してラックを昇降し、専用バケットの取り出しから搬送まで行うことだ。「スカイポッドを導入したことで、ピッキング作業のスピードが5倍ほどになった実績もある」と今村課長は胸を張る。 複雑化する昨今の物流現場は「パズルのような世界」とも言われ、さまざまな自動化機器が使われる。自律化やAI活用などの差別化要因はさまざまにあるが、SIに秀でる同社は、大がかりなシステムだけでなく、多彩な機器を最適に活用したソリューション提案に注力する。
(ロボットダイジェスト編集部 芳賀 崇)