• インタビュー
2022.11.11
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EV化『いつ、どこまで進むか』(前編)/ヨルグ・レジャー ABBマネージングディレクター

自動車づくりの大きな変化

――たしかに自動車の生産、特に組み立て工程は自動化の余地だらけです。  EVで言えばモーターの組み立てが最重要課題です。付加価値を足せる工程とも言えます。コイル式だけでなくヘアピンタイプのモーターもあります。また、ベルトやシートといった柔らかいものをいかにロボットでハンドリングして正確に組み立てるかといった難しい課題もたくさんあります。要するに、そういう仕事には人が集まらなくなっているので、これまでは人海戦術でやっていた工程が今後はどんどんロボットに置き換わるわけです。それこそが、自動車産業の最大の変化であり、本格的な自動化に向けての大きなチャレンジとなるでしょう。 ――日本にいると世界各国のEVシフトがどのくらいの勢いで進んでいるのか分かりにくい部分があります。  たしかに日本はエンジン車が強い市場ですが、日産自動車など積極的にEVシフトを進めているメーカーもあります。われわれはEVとエンジン車の両方で日本市場でのさらなる浸透を目指しています。わが社は特に車両の塗装技術に強いと自負しているので、静岡県島田市に塗装専門のグローバルセンターを設置し、日本法人社長の中島秀一郎が世界全体の塗装ビジネスのリーダーを務めています。日本はまだまだ潜在性のある大きな市場と捉えていますし、そこに「持続可能性」や「脱炭素」といったキーワードが絡んできます。いずれにせよ自動車生産の現場はより高い柔軟性を求めていますから、われわれの提供するシステムはその上をいく柔軟性を有していなければなりません。

(聞き手・ロボットダイジェスト編集長 八角 秀) ――後編に続く

ヨルグ・レジャー(Joerg Reger) 1994年にABBの電力システム部門に入社後、ロボティクス事業部のフィールドサービス部門グローバルヘッド、ロボティクス事業ユニットの欧州におけるペイントシステム部門ヘッドなどの要職を歴任、2022年に現職に就任した。ドイツ・ギーセン応用科学大学出身。ドイツ機械工業連盟(VDMA)理事。

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