[SIerを訪ねてvol.9] 独自の教示レス研削システムを開発!人材力で差別化を【後編】/三明機工
ものづくりが好きな若者を
「当社の強みの源泉は人材。採用や育成に力を入れ、大手企業と比べても引けを取らない人材に育てている」と久保田社長は言い切る。 三明機工の社員数は、5年前には85人ほどだったが、新卒者を中心に毎年10人程を採用。定年退職者もいるので純増とはならないが、年々規模を拡大している。 「毎年100人以上の応募があり、その中からものづくりが好きで、自分の構想を形にするのが好きな若者を選抜している。生産設備の入れ替えは休日にすることが多いため、土日や連休が仕事になることも多いが、それを伝えても『それでもこの仕事がやりたい』と情熱を持って入社してくれる」と久保田社長は嬉しそうに話す。
海外が若い社員を育ててくれる
積極的な海外展開は、人材育成にも大いに役立っているという。「海外が若い社員を育ててくれる」と久保田社長は表現する。 海外向けの受注があると、日本で設計し、設計が終わると設計者はスーパーバイザーとして現地に飛ぶ。若手とベテランをペアにして、現場や協力会社を回って部材は適切に発注されているか、品質に問題はないか、納期は守れそうかなどを管理する。現地企業と折衝する中で、胆力も磨かれる。当初は「海外出張は大ごと」と捉える社員が多かったが、今では国内出張と同じ感覚で世界を飛び回っているという。
目下の課題は、人材の多様化だ。同社ではモノのインターネット(IoT)やビッグデータの活用には既に取り組むが、今後は人工知能(AI)技術などもロボットには必須となる。また、近年注目を浴びる協働ロボットを安全柵なしで設置するには、リスクアセスメント(リスク要因を特定し対処すること)が欠かせない。 ロボット産業を取り巻くこうした環境の変化に対し「機械設計、電気制御の技術者だけでは対応が難しくなっている。情報技術や安全管理など、多様な専門分野を持つ人材を採用、育成しなければ」と久保田社長は語る。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)