2026.06.08
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[直前特集RTJ2026 vol.9]RTJは絶好のチャンス、新たな分野の開拓を/中部地域SIer連携会 瀬川裕史会長

産業界の人手不足を解決するには、ロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が欠かせない。ロボットテクノロジージャパン(RTJ)でもSIer専用の展示コーナーが設けられており、SIer各社の提案は見どころの一つとなっている。RTJ開催地である中部地域のSIerなどが所属する中部地域SIer連携会(F64)の瀬川裕史会長は「生き残り続けるには新たな分野のお客さまを開拓しなければならない。RTJは自動車以外の分野のお客さまなどの生の声を聞ける絶好のチャンス」と力を込める。

桑崎厚史:ロボットダイジェスト編集部)

AI の技術動向を注視

「AIはメリットにも脅威にもなる」と瀬川裕史会長

 人工知能(AI)でロボットや機器を自律的に制御する「フィジカルAI」が高い関心を集めています。

 フィジカルAIや生成AIをはじめとしたAI技術は、SIerのビジネスにも大きな影響を及ぼします。例えば、生成AIを使えば、これまで高度な技能が求められてきたラダープログラムの作成を効率化できます。また、フィジカルAIが発展すれば、モーターをより高精度に制御できるようになります。もしかしたらティーチング(動作を覚えさせること)にかける時間や工数を大幅に短縮できるかもしれません。工数はコストに直結しますから、お客さまにロボットシステムをより提供しやすくなります。

 一方、AIは脅威でもあり、これまで技能だと捉えられていたことが誰でも簡単に再現できてしまう恐れがあります。お客さまが独力でロボットシステムを構築できるようになれば、SIerが不要になります。また、AIの普及に伴い、近年は異分野の企業がSIerのビジネスに進出する事例も増えています。既存のSIer各社がこうした新規プレーヤーに打ち勝つために、技術力をどう磨くかも課題です。

 フィジカルAIなどが現場実装されるのはまだ先の話ですが、AIはメリットにも脅威にもなるので、SIer各社は技術動向を注視しています。

「やりたいこと」が明確でない

 中部地域SIer連携会に所属する多くのSIerは、自動車産業のお客さまの自動化ニーズを具現化することで成長してきました。しかし、自動車産業は事業環境が激変しており、引き合いや受注が減少傾向にあります。そのため、中部地域のSIerが生き残り続けるには新たな分野のお客さまを開拓しなければなりません。

 こうした観点から、RTJはSIerにとっても意義深い展示会だといえるでしょう。自動車以外の新たな分野のお客さまや、自動車産業でも今まで接点が薄かったお客さまなどの生の声を聞ける絶好のチャンスです。

 近年は物流産業や食品産業、地場の伝統産業といった分野でも自動化ニーズが急速に高まっています。ただ、生産技術のレベルが高い自動車産業とは異なり、これらの分野のお客さまは自動化に関わるノウハウを持ち合わせていません。SIerは「やりたいこと」を具現化するのは得意ですが、そもそも「やりたいこと」が明確に描けていないケースが多いのです。

 また、ロボット導入を円滑に進めるには“地ならし”をして、現状をしっかりと把握する必要があります。しかし、多くのSIerは生産技術的な視点でお客さまの現場の工程を分析し、生産性や品質を向上させるための改善策を指導するのが決して得意ではありません。これをどう乗り越え、自動車以外の分野のお客さまの自動化ニーズに応えるかも今後の課題です。

会員同士のビジネスも

「オープンな関係性になった」と瀬川裕史会長

 フィジカルAIなどの最先端のAI技術にしても、新たな分野のお客さまの開拓にしても、まずは情報収集が欠かせません。とはいえ、1社だけで仕入れられる情報量には限界があります。そのため、中部地域にゆかりのあるSIer同士が連携し、お互いの情報を共有し合ったり、技術力を高め合ったりするための団体として、2018年に中部地域SIer連携会を立ち上げました。

 当連携会では主に情報交換会や勉強会、ロボットメーカーや周辺機器メーカーへの工場見学会などを通じ、会員同士の交流や連携の促進、新たな事業の創出を図っています。発足当初は10社ほどの小さな組織でしたが、今では賛助会員も含めて50社近くにまで拡大しました。

 実は、当連携会が立ち上がるまでは近隣のSIerと交流する機会がほとんどありませんでした。ですが、今では会員同士のビジネスがかなり増えており、オープンな関係性になったと感じています。

瀬川裕史(せがわ・ひろふみ)

産業能率大学卒業。2000年スターテクノ入社。14年常務(現職)。18年から中部地域SIer連携会会長。この他日本ロボットシステムインテグレータ協会副会長などの要職も兼務。58歳。

<次ページでは「SIerゾーン」などを紹介>

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