[ロボットが活躍する現場vol.55]熟練のノウハウを生かして塗装を自動化/オークマ工塗
オークマ工塗(大阪府東大阪市、大熊重之社長)は垂直多関節ロボット3台による塗装の自動化を実現した。導入の背景にあったのは高齢化が進む作業者にかかる大きな負担だった。しかし、導入を図る中で、ロボットとの協働を拒む声やコストパフォーマンスを疑問視する声も挙がり、決して順風満帆なスタートではなかったという。
作業者の負担を大幅減
オークマ工塗は機械部品や家電用部品などの塗装を主な事業とする。3台の6軸垂直多関節ロボットを使い、塗装工程の一部自動化を実現した。アームの先端部にスプレーガンが取り付けられており、塗料の供給装置からケーブルを通じてスプレーガンに塗料が送られ、塗料を空気と共にスプレーガンから吐出することで塗装する仕組みだ。
自動化システムは同社と関係性が深い塗装機器メーカーの旭サナック(愛知県尾張旭市、服部修一社長)が開発したものを使う。機器の開発だけでなくインテグレーションも旭サナックが担った。
精度の高さや塗りムラの小ささ、一定の精度を保ちながら塗装し続けられる点はロボットならではの長所だ。「人は状況に応じて臨機応変に塗装できるため、基本的には人が塗装した方が作業時間は短い。一方、ロボットは人の関節ではできない動きが可能なため、人よりも効率的に塗装できる場合もある」と大熊社長は言う。
運用面では熟練の塗装担当者がこれまで培ってきたノウハウが生きている。塗料中の溶剤が揮発することで粘度がわずかに変わるため、朝と昼で塗料の吹き方を変える必要がある。また、日によって室温や湿度もまばらになる。
画一的な塗装条件で自動塗装するのでなく、熟練の塗装担当者がその日の環境に合わせて専用の制御ソフトウエアで塗料の吐出量などの設定や塗料の希釈率を都度微調整することで塗装の質を保っている。
導入の効果について大熊社長は「ロボットの導入以前は塗装の連続作業時間は最長で6時間ほどかかる時もあった。ロボットを導入したことで、塗装担当者の連続作業時間は3時間ほどに縮まった。人手に余裕が生まれたため、受けられる案件数を増やせた」と話す。
導入したロボット3台のうち2台は専用のスペースに固定してフル稼働させ、残りの1台は設置場所を固定せず人手が足りなくなったときに作業スペースに設置して使うサポートの役割を担う。

