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2022.12.06

[特別リポートJIMTOF2022 vol.4] 進化するアプリケーション

11月8日~13日の6日間、都内の東京ビッグサイトで工作機械展「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF=ジムトフ2022)」が開かれた。同展はビッグサイト全館を使用する国内最大の工作機械展で、会期中に重複なしで11万4158人、重複ありで14万1948人が来場した。特別リポートJIMTOF2022のvol.1~3で紹介した他にも、会場ではさまざまなロボットシステムが展示された

バリ取りのスピードを200%超に/オーエスジー、豊電子工業、ナカニシ

オーエスジーブースで展示されたバリ取りシステム

 切削工具メーカーのオーエスジーのブースでは、同社と豊電子工業(愛知県刈谷市、盛田高史社長)、ナカニシの3社がコラボレーションしたロボットシステムを展示した。
 オーエスジーのバリ取りカッターと、ナカニシのスピンドルを使い、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の豊電子工業がシステム構築したものだ。

従来比200%以上の高速化を実現した

 このシステムの特徴はその速さだ。「バリ取りカッターはオーエスジーに特別に開発してもらったもの。想像以上の切れ味で、当初目指していた速さを上回る従来比200%以上の加工速度を実現できた」と豊電子工業SI技術部加工技術開発室兼エアロスペースPJの松尾大介主担当員は話す。このカッターの性能を生かせるよう、ナカニシのスピンドルも最高回転数が従来比2倍の4万回転の新製品を採用した。

 「秒速500mmを超える速度で、ロボットによるバリ取りに詳しい人ほど『こんなに速いの!』と驚く」とオーエスジーのデザインセンター開発グループAerospace(エアロスペース)チームの鈴木真係長は言う。
 同システムは豊電子工業から販売予定。

切削工具の刃先チップを自動交換/富士精工、志賀機械工業

2台のロボットで刃先チップを付け替える

 切削工具やその周辺機器を製造、販売する富士精工は、2021年に完全子会社化した志賀機械工業(愛知県知立市、朝倉基晴社長)と共同で、ロボットによる切削工具の刃先チップ交換システムを披露した。
 刃先交換式工具では、使用後の刃先用チップを取り外し、新しいものに付け替える作業が発生する。固定用のねじを外したり絞めたりする作業も含め、チップ交換の一連の作業を自動化した。RFIDタグ(電波式自動認識タグ)で切削工具を個別に認識し、多品種対応やトレーサビリティー管理もできる。

バリ取りシステムも展示した

 「一つの工具にも多数のチップが装着されるため、人手でするとかなりの時間を取られる。チップ交換を自動化したいとのニーズは思いのほか高く、多くの引き合いをいただいている」と営業部精機営業課の原田信人チーフエンジニアは語る。
 同社グループではロボットシステムの提案に力を入れており、この他にも「フローティング式バリ取りハンド」による金属部品のバリ取りを提案した。

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