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2022.11.11

インタビュー

EV化『いつ、どこまで進むか』(前編)/ヨルグ・レジャー ABBマネージングディレクター

電機・重工大手ABB(スイス・チューリッヒ)のロボティクス&ディスクリート・オートメーション部門はいくつかのセクションに分かれており、うちオートモーティブ・グローバルビジネスラインと呼ばれる自動車チームを統括するのがヨルグ・レジャー氏だ。「電気自動車(EV)化はもはや『実現する』『実現しない』の議論ではなく『いつなのか』『どこまで進むか』の段階に入っている」と指摘する。「ロボット事業に関わって20年以上になるが、今ほどエキサイティングな時代はない」と笑みを見せる。

設備投資傾向に変化アリ

「広範な製品ポートフォリオが特徴です」とヨルグ・レジャー氏

――ロボティクス&ディスクリート・オートメーション部門の概要をお願いします。
 この部門では世界中で1万1000人が働いており、売上高は約33億ドル(約5000億円)です。世界53カ国でビジネスを展開していますが、地域別では最大市場が欧州で、売上高比で約半分、次いで中国は3割ほどとなります。特にディスクリート(組み立て)用途はほとんどが欧州向けですね。産業別で言えば、自動車産業が最大の顧客で売上高のおよそ3分の1が自動車向けです。ちなみに、直販比率は売上高比で約半分です。単体の垂直多関節ロボットから周辺機器・システムまで、非常に広範な製品ポートフォリオ(商品構成、組み合わせ)を持っているのが特徴です。

――市場の傾向について教えてください。
 世界各地で、しかも多様な産業で労働者不足が深刻となり、製造工程の自動化需要が高まっています。一方、製品への品質要求も年々厳しくなっています。わが社はロボット単体としての販売とシステム提供の両方を手掛けていますが、近年は顧客産業の設備投資傾向が変わってきたと感じることが増えました。

「自動車の製造工程はもっと自動化できる」とレジャー氏

――どのような変化でしょうか?
 バリューチェーンの上流から下流までを受け持つ案件が増えています。電気自動車(EV)メーカーのバッテリーやモーターなどで顕著です。EVの次にはおそらく水素ビジネスも活発になるでしょうから、もちろんその準備も怠っていません。EVシフトについては、バッテリーの開発が過渡期であるため、この先はどうなるか読めませんが、ものすごい勢いで投資している顧客も世界中にたくさんいます。EV化はもはや『実現する』『実現しない』の議論ではなく『いつなのか』『どこまで進むか』の段階に入っていると言っていいでしょう。私も20年以上ロボティクスの世界で働いていますが、今が一番エキサイティングです。投資のトレンドはどんどん変わっていきますし、イノベーションも必要とされます。ただ一つ断言できるのは、自動車の製造工程はもっともっと自動化できる部分があり、事実、多くの工程で自動化が必要とされているということです。

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