生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2022.06.03

イベント

3年ぶり開催! 自動化ソリューションに熱視線/MEX金沢2022

「MEX金沢2022(第58回機械工業見本市金沢)」が5月19日~21日の3日間、金沢市の展示会場「石川県産業展示館」で開催された。159社・団体が669小間の規模で出展し、会期3日間で延べ3万2000人超が来場した。北陸地方は有効求人倍率が全国でもトップクラスで、人手不足に頭を抱える企業が多い。3年ぶりに開催された今回展でも、人手不足を解決する自動化ソリューションの展示に大きな注目が集まり、来場者から熱い視線が注がれた。

全国トップクラスの有効求人倍率

3年ぶりのMEX金沢に延べ3万2000人超が来場

 MEX金沢は、日本海側で最大規模の機械工業見本市。石川県に本社や営業拠点、生産拠点を置く機械メーカーや電機メーカーなどで構成される業界団体「石川県鉄工機電協会」が主催する。
 第1回の1963年以来、毎年継続的に開催されてきたが、2020年と21年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止に。3年ぶりの開催となった今回展は「明るい未来へ‼ つながる新技術」をテーマに、159社・団体が669小間の規模で出展した。家族連れや学生なども含め、会期3日間で延べ3万2000人超が来場した。

 石川県、富山県、福井県、新潟県から成る北陸地方では、人手不足が深刻な課題となっている。4県とも有効求人倍率が全国トップクラスで、中でも福井県の今年3月の有効求人倍率(季節調整値、受理地別)は1.89と全国1位を記録。人手不足に頭を抱える企業が多いのが北陸地方の現状だ。
 それだけに、今回展ではロボットシステムなどを筆頭に、人手不足の課題を解決する自動化ソリューションの展示が目立った。ロボットシステムの前で足を止める来場者も多く、各社の自動化提案に熱い視線が注がれた。

変種変量生産の自動化を簡単に

中村留精密工業の協働ロボットシステム「Plug One」

 工作機械メーカーの中村留精密工業(石川県白山市、中村匠吾社長)は協働ロボットシステム「Plug One(プラグワン)」を展示した。複合加工機「SC-100」と組み合わせ、ワーク(被加工物)脱着のデモを披露した。複合加工機とは、異なる複数の加工法を1台に集約した工作機械のことだ。
 プラグワンの特徴は、ワークストッカーや複合加工機とワンタッチで接続できること。専用のレバーを操作するだけで、配線や配管の取り回しを考慮しなくても簡単に自動化システムを構築できる。
 この他、基準となるワークと専用の測定機器を使って加工機内の幾何誤差(形状などの誤差)を自動で測定する機能「Smart Tuning(スマートチューニング)」など、複合加工機をより使いやすくする新機能も発表。中村社長は「複合加工機は売って終わりの世界ではなく、納入後にどうサポートしていくかが重要。機械を長く使ってほしいとの思いから、現場の負担を削るさまざまな機能を開発した」と強調する。

高松機械工業のパッケージシステム「ServoROT-01」

 高松機械工業は、垂直多関節ロボットを使ったワーク脱着のパッケージシステム「ServoROT(サーボロット)-01」を紹介。ロボットとトレーチェンジャーが一体化したシステムで、機械前面に畳一畳分のスペースがあれば既設の工作機械にも後付けできる。ワークの洗浄ユニットや測定装置などの周辺機器も、ユーザーニーズに応じて自由に組み合わせられる。自社だけではなく他社製の工作機械にも搭載できるよう、単品売りも計画しているという。
 高松宗一郎社長は「わが社はこれまで、大量生産(量産)向けの高速ローダーを得意としてきたが、それだけでは自動化のニーズに応えきれない。変種変量生産の自動化が可能なロボットシステムもそろえ、自動化ソリューションの提案の幅を広げた」と話す。

村田機械のガントリーローダーシステム「FLEX EZ LOADER LOPROSS」

 工作機械や物流システム、繊維機械など多様な事業を展開する村田機械(京都市伏見区、村田大介社長)は、新開発のガントリーローダーシステム「FLEX EZ LOADER LOPROSS(フレックス・イージー・ローダー・ロプロス)」を出展した。ワークの高さ寸法を入力するだけで、ティーチング(動作を覚えさせること)用のプログラムが簡単に作成できる。また、チャック(ワークを固定する器具)の爪のストロークも130mm確保し、爪を交換しなくても径の異なるさまざまなワークを固定して搬送できる。汎用性が高く、多品種少量生産や変種変量生産の自動化に力を発揮する。

TOP