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2022.03.03

[特集 国際ロボット展vol.9]具体的なイメージで呼び込む/ダイドー、山善

ロボットシステムの開発、製造の表舞台では各ロボットメーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が活躍するが、商社の存在は大きい。流通を担う商社本来の役割に加え、自身がSIerの機能を持つケースも増えた。商材の多様性を生かしたロボットの常設展示やパッケージ製品の開発、コンピューター上でのシミュレーションなどを通じて、導入を妨げるハードルの突破を促す。

事前の実証実験が重要

「来場者の課題をロボット館やオートマチックファクトリーで解決する」と話すダイドーの 増田元昭部長

 メカトロニクス専門商社とSIerの2つの顔を持つダイドー(名古屋市中村区、山田貞夫社長)。ロボット本体に加えロボットハンドなどの周辺機器の取り扱いも豊富で、システム全体をワンストップで構築できるのが強みだ。2008年に立ち上げたロボット事業部には約60人の技術者が在籍し、ティーチング(教示)や設計などのSIerの業務を担う。

 従来は自動車や電子部品産業がロボットのメインユーザーだったが、最近は食品、医薬品、化粧品の「三品産業」をはじめとした新規ユーザーからの需要も拡大しつつあるという。ロボット事業部の増田元昭部長は「ロボットシステムの導入は大きな投資になる。失敗しないためにも事前の実証実験が重要」と強調する。

 実証実験の場として機能するのが、名古屋や東京、福岡にある専門施設「ダイドーロボット館」と、愛知県安城市の三河支店に昨年11月に開設した「ダイドーオートマチックファクトリー」だ。全国4カ所の施設で、実機見学や実証実験、ロボットの操作教育などのニーズに応える。「ロボットシステムの実証実験ができる施設は全国的にも珍しい。来訪者から『ロボット館で実証実験ができたからこそロボット導入に成功した』との話をいただくことも増えた」と増田部長は胸を張る。

来場者の課題をロボット館で

 2022国際ロボット展(iREX2022)には20小間で出展する。会場では数多くの新製品を初披露するだけではなく、展示物に興味を持った来場者をロボット館やダイドーオートマチックファクトリーにも呼び込む考えだ。増田部長は「国際ロボット展の来場者が抱える課題をロボット館やオートマチックファクトリーで解決したい」と意気込む。

 目玉の一つは、空調設備や自動倉庫、搬送システムなどを製造する三機工業が開発した自律走行型の「ソーティング(仕分け)ロボット」。特設ゾーンを作り、ソーティングロボットの走行デモを実施する。

 また、ダイドーが独自開発したパッケージシステムも見どころだ。例えば、アーク溶接とヒューム(粉じん)回収をする協働ロボットシステムを披露する。「顧客の要望を受けて開発した。6月までの正式発売を計画している」と増田部長は語る。

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