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2021.05.07

工場から人を消す! 画像検査からロボットへ【後編】/リンクス 村上慶社長

村上慶社長(左)と、ロボットソリューションを統括する豊崎紘一郎事業責任者

リンクス(東京都品川区)は、工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)向けに画像処理ソフトウエアや産業用カメラを輸入販売する技術商社だ。1990年の創業以来、画像検査向けの製品を中心に扱ってきたが、近年は「ロボットソリューション事業」も展開する。同社がロボット事業に注力する理由とは。村上慶社長に話を聞いた。

ばら積みピッキング用のパッケージを発売

フォトネオのビン・ピッキング・スタジオ

――前編で、「ロボットソリューション事業」を始めたとの話がありました。
 専門部署を創設し、ロボット向けのパッケージ製品などを販売しています。従来からロボットシステムに使える製品も一部ありましたが、ロボットソリューション事業向けに新たなブランドを扱い始めました。

――新たなブランドとは?
スロバキアのベンチャー企業Photoneo(フォトネオ)です。同社のピッキングシステム「Bin Picking Studio(ビン・ピッキング・スタジオ)」を2018年11月から販売しています。コンテナ内に雑然と積まれた部品の位置や姿勢を認識し、最適な角度からつかみ上げるばら積みピッキング向けのパッケージシステムです。

昨年の「国際画像機器展2020」ではビン・ピッキング・スタジオの実機を展示

――パッケージの構成は?
3次元(D)センサーとビジョンコントローラー、専用ソフトをセットにしています。前編では「3Dセンサーでシステムを構築するにはノウハウが必要」と言いましたが、ビン・ピッキング・スタジオは最適な組み合わせをパッケージにしているため、特別なノウハウは要りません。産業用ロボット、ロボットコントローラーと組み合わせれば、ばら積みピッキングシステムを構築できます。部品の設計データを取り込んでつかむ部位を指定するなど、簡単な設定だけで使えます。

――フォトネオはどんな企業ですか?
 13年に創業した3Dセンサーのメーカーで、自社製品の強みを生かす方法として考案したのがビン・ピッキング・スタジオです。同社のセンサーは高精度に広い範囲を計測でき、ばら積みピッキング用のセンサーとして最適です。3Dセンサー単体でも販売していますが、ビジョンシステム専門のインテグレーターからもとても高く評価されています。

物流向けバージョンも

右がフォトネオの3Dセンサー。鮮明な画像が得られる

――扱い始めた経緯は?
 欧州と北米にリサーチセンターを置き、常に新たな商材を探しています。ロボットピッキング市場が成長すると判断したリサーチセンターが同市場でのプレーヤーを世界中から徹底してリストアップし、その中にフォトネオがありました。各社検討し、優秀と思われるメーカーの製品をテストしました。その結果、性能が抜群に優れていたのがフォトネオでした。また、同社の創設者でもあるヤン・ジスカ最高経営責任者と話したところ、技術に対するビジョンが明確でカリスマ性を感じました。「世界の天才たちの夢をビジネスに」、これもわが社のモットーの一つですので、フォトネオを扱うと決めました。

――国内の顧客の反応は?
 大手企業にも既に採用実績があり、引き合いは増えています。また、通常仕様のビン・ピッキング・スタジオは金属部品などを想定していますが、物流分野向けの「AnyPick(エニーピック)」というバージョンもあります。箱を積み下ろすケースピッキング、コンテナ内の品物を一つずつ取るピースピッキングのどちらにも対応します。

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