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2019.04.25

連載

[SIerを訪ねてvol.7]少数精鋭のファブレス設計者集団【後編】/レステックス

今回の「SIerを訪ねて」では、千葉県松戸市のJR常磐線馬橋駅から徒歩3分の場所に本社を構えるレステックス(斉藤圭司社長)を訪問した。同社はアルミの鋳物工場向けのロボットシステムや、協働ロボットを使ったパッケージシステムを得意とする。同社はシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)として一通りの工程を自社で担えるが、「全工程を自社で担おうとは思わない」と話す。その真意を斉藤社長に聞いた。

協働ロボットのパッケージを開発

 前編では同社が構築した鋳物工場向けのロボットシステムを中心に紹介した。鋳物工場向けシステムで使ったのはファナック製のロボットで、その他のシステムでも一般的な産業用ロボットはファナック製を選ぶ。

 一方、リスクアセスメント(リスクの確認と対処)をすれば安全柵なしで設置できる協働ロボットの場合は、台湾のテックマン・ロボット製の協働ロボット「TMシリーズ」を使う。

テックマンの協働ロボットを使ったパッケージシステム

 同社はこのほど、TMシリーズを使ったパッケージ製品を開発した。TMシリーズはアームの先にビジョンセンサーを標準搭載していることが特徴で、これにキャスター付きのアルミ架台とロボットハンドを付けた。
 半日の操作指導もセットにする。ハンドの先につける爪(ハンド先端の可動部品)は一般に別売りだが、同社のパッケージでは3Dプリンターで製造した簡易的な爪まで提供する。

 このパッケージシステムの名称や価格は現在検討中で、設計料などは別途かかるが顧客の要望に合わせたカスタマイズにも応じる予定だ。

 「TMシリーズは『3Dランドマーク』と呼ばれるテックマン独自のマークをビジョンセンサーで読むこむことで、作業台の上の状況を自動で把握する。設定や操作が簡単で、ロボットに不慣れな人でも使いやすい」と斉藤社長は話す。

中央に見えるのが「3Dランドマーク」、容器の傾きなども自動で認識できる

 ロボットシステムでは一般的に、ロボット本体の価格よりもシステムインテグレーションの費用(SIerの技術料や周辺機器の費用など)の方が大きい。そのため、導入を検討する企業から見れば、システム全体の初期費用が分かりにくかった。
 「自動化に興味があっても、どれほどの費用がかかるかある程度は想定できなければ、具体的な検討に進めない。実際にはカスタマイズが必要なケースも多いが、基本パッケージがあれば少なくとも価格の目安にはなる」(斉藤社長)。
 開発したばかりだが、既に受注があって引き合いも複数あるという。

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