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2019.04.16

イベント

医療機器展に見るロボット提案/Medtec Japan

医療機器の製造・設計に関する展示会「Medtec Japan(メドテックジャパン)2019」が3月18日~20日の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた。523社・団体が出展し、2万5000人以上が来場した。医療機器以外にも活用できる技術や部品の展示も多く、会場ではロボット関連の提案も見られた。

水素タンクをロボットで

「多くの引き合いがある」と話す倉谷泰成社長

 メドテックでは医療機器向けだけでなく、幅広い製品や技術が展示された。

 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)パビリオンには、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のカドコーポレーション(兵庫県たつの市、倉谷泰成社長)が出展。水素や天然ガスのタンクを製造するフィラメントワインディングという作業向けのロボットシステムを展示した。
 フィラメントワインディングとは、樹脂を含侵させた繊維を回転する型に巻き付ける成形法のこと。水素などのタンクは、両端が丸まった円筒形状をしている。通常は繊維を繰り出すヘッドを上下動だけさせて巻き付けるが、それでは両端の丸まった部分で成形不良が生じやすい。そこでロボットを使い、丸まった端部に合わせてヘッドの位置や角度を調整しながら繊維を巻き付ける。巻き付ける型の交換など、前後行程もロボットでできる。
 フランスのMFテックというメーカーが開発した成形システムで、ロボットは独KUKA(クカ)製。「位置決め精度なら他のメーカーも高いが、動作の軌跡精度で比べるとクカのロボットが優れている」と倉谷社長は言う。
 燃料電池車(FCV)の水素タンクの製造などに最適で、「FCVの生産台数はまだまだ少ないが、生産設備は生産台数が伸びる前に導入する必要があり、今がちょうど設備投資のタイミング。非常に多くの引き合いや受注をいただいている」と倉谷社長は話す。

ケーブルの代わりにFPCでコンパクトに

日本メクトロンのFPCが採用されたコボッタ

 ロボット用の部品を展示する企業もあった。
 日本メクトロン(東京都港区、小林俊文社長)は、フレキシブルプリント基板(FPC)を展示した。FPCは柔軟性のあるシートに金属箔を張り合わせて作った電子回路基板だ。柔軟性があってケーブルの代わりにも使用でき、ケーブルと比べると圧倒的に薄いのが特徴だ。
 
 同社ではロボットでのFPCの採用例としてデンソーウェーブ(愛知県阿久比町、中川弘靖社長)の小型協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」を展示。
 「コボッタは配線をアームの内側に収めてあるが、それでもなお非常にコンパクトなボディーを実現している。その特徴に貢献しているのがFPC」(同社担当者)。

大学発ベンチャーはパワー・アシスト・スーツをアピール

人工筋肉で重量物を持ち上げる際の腰への負担を軽減

 東京理科大学発のベンチャー企業のイノフィス(東京都新宿区、古川尚史社長)は、パワー・アシスト・スーツ「マッスルスーツ」を展示した。同製品の中でも特に、昨年9月に発売した「マッスルスーツEdge(エッジ)」をアピールした。
 この製品は従来モデルをより軽量に、安価にしたもの。伸縮性のあるチューブに圧縮空気を入れた「McKibenn(マッキベン)型」と呼ばれる人工筋肉を搭載する。圧縮空気を使うがコンプレッサーなどは必要なく、バッテリーも不要で、圧縮空気入りのチューブの弾力で重量物を持ち上げる動きをサポートする。
 腰痛持ちの記者も同製品を装着して20キロの水袋を入れた容器を持ち上げてみたが、腰への負担なく持ち上げることができた。
 「当社はパワー・アシスト・スーツではトップクラスのシェアを持つ。人の動きを検知してその動きをサポートするタイプの製品と異なり、本人の動作と補助する力のタイムラグも全くないので快適に作業できる」と依田大事業部長は言う。

 同展示会は毎年開かれ、2020年は東京ビッグサイトで3月16日~18日の3日間にわたり開催される予定だ。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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