生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2019.04.22

連載

[注目製品PickUp!vol.12]2m四方のサイズも‼ カスタマイズ自在な真空グリッパー【前編】/シュマルツ「SPZ/SSP」

対象物を吸着して固定する装置や真空パッド、真空発生器などの真空機器メーカー、ドイツのシュマルツ(日本法人=横浜市都筑区、アーネ・ゲッテゲンス社長)。同社は昨年、自在にカスタマイズできる真空グリッパー「SPZ/SSP」を発売した。従来から同社製品で定評のある吸着性能の高さに加え、吸着面の大きさなどをカスタマイズでき、オプションも多数用意する。機能を充実させ、活用できる場面を大幅に増やした。SPZとSSPは同社のビジネスモデルを大きく変える可能性があるという。前編では製品の特徴や活用場面を紹介する。

真空機器を手掛けて35年

 ドイツのシュマルツはかみそり刃メーカーとして1910年に設立された。搬送向けの真空機器を製造し始めたのが84年で、現在では真空パッドや吸着スポンジなどの部品から、真空グリッパーなどの機器、空気バルブや真空発生器など8000点以上の商品を持つ。世界18拠点に1500人の社員が在籍し、50カ国以上で製品を販売する。
 日本には2000年に駐在員事務所を開設し、02年に法人化した。日本国内では売り上げの多くを自動車向けが占め、プレス加工前後の搬送に使う装置では非常に高いシェアを持つ。「特定の工程では当社の製品が欠かせないものとして、高い支持を得ている」(ゲッテゲンス社長)。
 最近は搬送用の台(パレット)から段ボール箱を積み降ろすパレタイズ、デパレタイズの自動化など、物流業界からの引き合いも増えているという。

 同社の特徴について、ゲッテゲンス社長は「品質の高さと、時代のニーズに合わせた商品企画力や開発力が強み」と胸を張る。同社の真空グリッパーは吸引する穴の構造が特殊で、対象物の触れていない箇所からは吸引しない。そのため、対象物に触れているところでは強い吸引力を維持でき、吸着ミスが少ない。
 対象物と接する部分は真空パッドとスポンジの2種類。真空パッドは品質の保持のため、全て手作業で仕上げと検査をする。スポンジは独自開発で、網目の細かさと軟らかさを両立する。網目が細かいため空気漏れが少なく、軟らかいため対象物への接触部分が大きい。

  • 手作業で仕上げと検査をする吸着パッド

  • 網目の細かさと軟らかさを両立した独自開発のスポンジ

TOP