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2022.10.03

ロボットSIerの新会社設立! 新規市場の開拓に本腰/エンシュウ

工作機械や輸送機器部品メーカーのエンシュウは主要顧客である自動車産業の変革期を見据え、自動車以外の新規市場の開拓に本腰を入れている。その一環で、ロボットシステムの構築やデジタルソリューションの開発を担う新会社のエンシュウコネクティッド(浜松市南区、原淳記社長)を今年4月に設立。製造現場を熟知した従業員をそろえ、2025年度までに10億円の売上高を目指す方針だ。

ロボットに加えIoTやDXも

「製造現場を熟知した人材をそろえた」と話すエンシュウコネクティッドの原淳記社長

 エンシュウコネクティッドはエンシュウの完全子会社で、今年4月1日に設立された。資本金は1億円。9月1日時点で原社長を含め8人の従業員が在籍する。

 エンシュウコネクティッドはシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)として、ロボットシステムの設計から製造、据え付け、システム制御、ティーチング、アフターサポートまでの各工程をワンストップで対応できるのが特徴だ。それに加え、顧客の製造現場のモノのインターネット(IoT)化やデジタルトランスフォーメーション(DX=デジタル技術による変革)化を支援する各種デジタルソリューションの開発も手掛ける。
 原社長は「ロボットシステムの構築だけではなく、設備の稼働状況のデータ収集や基幹システムへの接続なども一気通貫で請け負えるのが強み」と語る。他社製の設備を含めた自動化やデジタル化の要望にも柔軟に対応する構えだ。

 8人の従業員は機械設計やシステム制御、据え付け、IoTシステム開発、営業などの専門分野をそれぞれ持つ。8人とも、自社の製造現場の自動化やデジタル化に貢献してきた経験豊富な人材だ。原社長は「製造現場を熟知した人材をそろえ、まずは少数精鋭の体制で事業を展開する」と話す。

25年度までに10億円

  • ロボットシステムの設計からアフターサポートまでワンストップで対応(提供)

  • 顧客の製造現場のIoT化やDX化も請け負う(提供)

 エンシュウが新会社を立ち上げた背景には、主要顧客の自動車産業の変革期に対する大きな危機感がある。同社はエンジン部品向けの専用機をこれまで得意としてきたが、電動車へのシフトが進めばエンジンの需要が縮小する。
 エンジン以外、ひいては自動車以外の新規市場を本格的に開拓するため、社内の一部署だった「IoT推進室」のメンバーに自社工場の自動化を推進するメンバーも加えて新会社を興した。「小回りが利く体制で、スピード感を持ってビジネスを推進できるよう、エンシュウとは別の会社とした」と原社長は説明する。

 エンシュウコネクティッドは25年度までに10億円の売上高を目指す。
 現在はエンシュウの既存顧客である自動車産業を中心に、引き合いが増えつつあるという。こうした既存顧客へのフォローと並行して新規顧客の開拓も加速させるため、エンシュウの営業部隊とタッグを組んで商社へのPRを強化し、商社経由での需要の掘り起こしも狙う考えだ。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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