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2018.11.27

連載

[SIerを訪ねてvol.2]3つの要素で新市場を開く【その2】 /バイナス

本連載2回目は、愛知県稲沢市に本社を置き、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)事業と教育事業を2本柱で展開するバイナス(渡辺亙<とおる>社長)を訪ねた。前回は主にSIer事業の特徴や強みを紹介した。今回は、もう一つの柱である教育事業をリポートする。教育事業は、主に大学や工業高校などの教育機関にロボットなどの実習装置を販売する事業だ。最近は、教育機関だけではなく、SIer向けにもロボットの実習装置を販売しており、SIerの育成にも注力する。

累計で3000台以上納入

 バイナスは①物づくり事業(ロボットFA事業=SIer事業)②人づくり事業(FA教育事業)――の2本柱で事業を営む。

 ②は、約30年にわたりバイナスが取り組む事業だ。ロボットをはじめとしたファクトリーオートメーション(工場の自動化、FA)関連の技術を学ぶための各種実習装置を、大学や工業高校などの教育機関向けに販売する。
 実習装置の提供だけではなく、バイナスの社員を技術指導で派遣し、教育機関での人材育成をサポートする。

 下間篤取締役営業部長は「ロボットの実習装置は累計で3000台以上納入している。FA関連の実習装置を含めれば、工業高校なら北は北海道から南は沖縄まで、おそらく9割以上のシェアがある」と胸を張る。

横軸での講習を

渡辺社長は「SIerになるには横軸での講習が必要」と話す

 学校向けのビジネスだけではなく、最近はSIerやロボット技術者を育成する事業にも注力する。
 2017年10月にはロボット技術者の育成のための実習装置「ロボトレーナ」を発売。18年4月には本社工場内にSIerの育成を支援する施設「バイナス教育センター」を開設した。

 渡辺社長は「ロボットメーカーの講習では、ロボット単体や、ロボットに使われるサーボモーターなどの要素技術についてそれぞれ学ぶ。分野ごとの縦割りで、それは言わば『縦軸の講習』」と話す。
 続けて「エンドユーザー向けならそれで良いが、SIerはこれらの要素技術を組み合わせてロボットシステムを構築する技能が求められる。それらを学ぶ『横軸の講習』がなければSIerは生まれない。そう考えて、当社の社内に教育センターを立ち上げた」と経緯を説明する。

 SIerであるバイナスが、SIerの育成事業に注力すると競合他社を増やすことになる。だが、最近は人手不足が深刻で自動化のニーズが非常に高く、ロボットシステムを構築するSIerの需要も急速に増加している。
 下間取締役は「競合などと言っている場合ではなく、当社で手厚く教えて、SIer業界を盛り上げる必要がある」と言う。

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