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2026.03.16
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[実践! リスキリング:第1シリーズ]第1回:鉛筆のようにCADを使えるために

国内事情に合わせた国産CADを

iCADの沿革から解説いただいた技術部の山川博之次長

 山川次長に製品としてのiCADの沿革から伺った。
 同製品は富士通が1970年代から手掛けていたCADソフトだ。2010年には同社の関連会社から独立して、会社としてのiCADを設立した。

 山川次長は「海外メーカーも含めた競合製品に比べ、iCADは日本の設計思想や文化に対応したCADソフト」とアピールする。海外ではトップダウン型で設計が決まっていくのに対し、国内ではすり合わせで変更が生じたり、各工程での現場判断で改善が施される。そういった工程途中での設計変更などにも、同製品は柔軟に対応できる。

 また、メインターゲットとするのは、工作機械や一般機械、ファクトリーオートメーション(FA、※2)装置といった「機械装置、生産設備」の分野だ。これらも日本の製造業の得意分野。いずれも、自動車のボディーのような複雑な意匠形状は少ないものの、そもそもの部品点数が圧倒的に多い。
※2:工場自動化。前職は野球関連の仕事をしていたので、略語を見ると「フリーエージェント」の方も頭をよぎる。

 同社はこの点に着目し、300万点の部品を0.2秒で処理するなど大規模なデータの軽量化技術を同製品の根幹に据えている。
 「データの重さでパソコンが固まれば、設計者の思考も止めてしまう」(山川次長)との考えで、現在は1000万点の部品を一度に扱えるデータエンジンの開発を進めている。

 それゆえ、ユーザーの多くは装置メーカーやロボットシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー、※3)の設計者だ。だが、手を動かし、簡単なスケッチを描いたり、2DCADで製図する設計者が多く、それらの作業をパソコンに置き換えたり、3Dモデルで考えるのに苦手意識がある人もいる。
※3:産業用ロボットや周辺機器などを使って自動化システムを構築する企業や事業などのこと。

 そこで、同社では「3D設計適用サービス」と称し、徹底した顧客支援をする。
 設計者が本来の設計業務に集中できるよう、顧客の使用現場に合わせた運用ルールの構築やシステムのカスタマイズにまで踏み込む。
 年間で5000社を超える現場への訪問を通じて培った知見を生かして、伴走支援する。同サービスがないと導入から本格的な運用開始まで半年以上かかる例もあるが、同サービスを使うと平均3カ月程度で済むという。

実践的な教育を

「3D設計適用サービス」の主な項目。操作教育もこの一環で提供する

 その一環で「iCAD SX 集合教育」を提供する。東京と大阪、名古屋にある同社の拠点で開催する。


 受講者は3日間の講習を通じて、機械装置設計の業務プロセスに沿った実践的な流れで、iCADの操作方法を学ぶ。 パソコン上でのソフトの起動方法から、部品モデルの作成や装置全体の作成、2D図面での出図、設計変更時の対処法までを教わる。
 単なる座学ではなく、実務を想定した演習やテストを組み込んで、受講後に一人でも設計を進められる状態を目指す。

 山川次長は「ラフスケッチを鉛筆で描く感覚でiCADを使っていただくのが究極の目標」と話す。
 本当は購入者向けの講習なのだが、今回は特別に受講させていただける形となった。次回から講習本番を迎える。


西塚 将喜(にしづか・まさのぶ)
大学卒業後、スポーツデータの分析企業に入社。国内プロ野球や社会人野球、米国大リーグのデータ収集と分析、それを基にした記事作成に携わる。データを扱うプログラミング言語「SQL」の知識を身に付けた。2018年ニュースダイジェスト社に入社。24年ファクトリーサイエンティストに認定、戦略MGを受講。25年ミツトヨ計測学院などを受講。1991年青森県生まれの34歳。

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