既存ラインを変えずに協働ロボットを導入/ファナック 山口賢治 社長兼CEOインタビュー
現場の合理化はますます重要に
――このまま景気が上向いて受注が増えた場合でも生産能力は十分ですか?
はい。各工場での新たな建屋の建設など、生産能力の増強をこれまで一貫して進めてきました。筑波工場の隣接地に土地を取得したため将来的にはさらに建屋を増やしますが、各工場の規模拡大は一段落しました。現状の規模があれば今後の需要の増加にも十分対応できます。
――なるほど。
建屋建設による規模の拡大は一段落しましたが、生産性向上のための生産現場の合理化、新商品に対応するための新規設備の導入などは引き続き進めます。今は調達部品の価格が上がるなど、コストは高騰しています。また顧客からは短納期などさまざまなことが求められますが、サプライヤーに無理を強いることはできません。それらを吸収するには、自社の現場を一層効率化するしかありません。
――例えばどのような合理化をしましたか。
以前は本社工場内の2カ所に分かれていたサーボモーターの部品加工工場を、本社工場内の1カ所に集約しました。稼働を維持しながら3年以上かけて少しずつ設備を移したため、完全に統合できたのは昨年6月です。生産能力や生産効率が上がっただけでなく、温度変化などにも強い工場になりました。集約と同時に、2t可搬のロボットを使った大型部品加工セルや、複数台のロボドリルを並べてロボットで自動化した加工ラインなどを新たに導入しました。ワーク交換だけでなく、旋盤チャックの爪交換やクーラントの給水作業なども自動化しています。
――自動化を推進しているのですね。
昨今の製造現場の課題といえば、人手の確保でしょう。それはファナックも変わりません。サーボモーターの部品加工工場に限らずあらゆる現場で自動化を推進しています。NC装置やモーターの組み立て、各商品の部品加工は既にかなり自動化できていますが、ロボドリルの組み立てはまだまだ人手に頼っています。また、ロボットの組み立ても主力機種の主要な作業は自動化していますが、人手に頼っている工程も多く残っています。こうした人手がかかる生産ラインであっても、人の代わりに協働ロボットを配置するなどして人手不足を補い、増産にも対応します。
――協働ロボットにどのような作業をさせていますか。
ロボドリルではロボットと人が協働して主軸の組み立てをしています。サーボアンプ工場では、1人の作業者の周りに大小5台の協働ロボットを配置し、ねじ締めや完成品のハンドリングなどさまざまな作業をさせています。サーボモーターの部品加工工場では、協働ロボット搭載型の無人搬送車でワークの供給や加工後のワーク回収などをしています。
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