生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.09.07

源流は自動車部品、技術を生かしニーズを形に/近藤製作所

1100種類以上のバリエーション

1100種類以上のバリエーションを誇るハンド&チャック(提供)

 ③のハンド&チャック ロボット周辺機器ではロボットハンドやチャックをはじめ、オート・ハンド・チェンジャーやロータリージョイントなどのロボットの周辺機器を開発、製造、販売する。
 同社では2爪の製品を「ハンド」、3爪を「チャック」と呼び、使い分けている。

 強みは、業界でもトップクラスの豊富なバリエーションと、サービス力、社内の自動車部品工場の3つだ。標準品はオプションも含め全部で1100種類を超える。
 営業本部長を務める近藤康正専務は「1100種類以上の標準品の裏には2万件以上の特殊品がある。膨大な特殊品の中から、標準化できそうなものを標準品として市場投入してきた」と説明する。
 
 これだけ種類が多いと何を選べばいいか悩む顧客も多いが、約20人の専任の営業担当が顧客のニーズにきめ細やかに対応し、サポートする。
 また、社内の自動車部品工場でも、自社で構築した自動化システムを運用し、自社開発のハンドやチャックを使う。「自動車部品の製造現場で品質や剛性(変形のしにくさ)を磨いた」と近藤専務は話す。

 自動車業界がメインの顧客層だったが、ロボットの需要先の裾野が広がったのを背景に、最近は物流や食品などの自動車以外の業界の引き合いも増えているという。

目視検査をAIで自動化

 最後に④のスマートファクトリーラボだが、ここでは画像認識やAI、IoTなどの最先端技術の研究開発に取り組む。
 自社の自動車部品工場では、これまでさまざまな工程の自動化を進めてきたが、最後に目視検査の工程が残った。人海戦術でパートの従業員が目視検査をする中、同社はAIを主としたスタートアップ(新興)企業などと協業し、AIを使った検査システムの開発に取り組む。
 目視検査もAIで自動化できれば、自動車部品工場をスマートファクトリーラボのモデル工場とし、多くの顧客を呼び込む考えだ。

 ここまで①~④の各事業部の取り組みを紹介したが、今後も「ニーズをカタチに」を合言葉に、顧客のニーズに応える製品やシステムを提供する。
 売上高に占める①~③の事業部の比率はほぼ同じで安定しているが、近藤社長は「最も期待度が高いのはスマートファクトリーラボ」と語り、さらなる事業拡大に力を注ぐ考えを示した。

 課題は人材教育で、必要なスキルを体系的に整理し、それに基づいて従業員別の教育計画を立てる仕組み作りにも着手した。将来は事業部間をまたいだローテーション制度の導入も視野に入れる。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)


※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2020年9月号でもお読みいただけます。

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