大阪・関西万博でロボットが存在感示す
連日多くの来場者が訪れた大阪・関西万博では、最先端技術であるロボット関連の展示も多く見られた。一般向けだけにロボットに親しむ展示が中心でBtoB(企業向け)の展示会とは異なり受注にはつながらないが、広くロボットを知ってもらえる貴重な機会に、「手応えを感じる」と語る出展者が目立った。ここでは、8月、9月に実施されたロボット関連の展示をピックアップして紹介する。子どもの夏休みとも一部重なり、子どもや若者がロボットに触れる様子が多く見られた。
自律走行の実用性をデモ
パナソニックアドバンストテクノロジー(PAD、大阪府門真市、水野勇介社長)は8月4日~17日に、ロボットを間近に見ながらデモンストレーションを体験できる展示施設「ロボット&モビリティステーション」や周辺で、搬送ロボット向けソフトウエアパッケージ「@mobi(アトモビ)」を組み込んだ自律走行型搬送ロボット(AMR)を走行させるデモを披露した。
同施設の屋外に設置したコース上には多くの来場者が行き交っていたが、誰とも衝突することなく決められたコースを走り切った。物珍しさからかAMRに視線やカメラのレンズを向ける来場者の姿が多く見られた。
「万博会場のような人が多い場所はAMRは非常に苦手。事前に登録した走行コースと実際の走行コースに大きな差異が出てしまい、AMRは自分の位置を認識できなくなる。しかしアトモビは自己位置の推定機能が優れており迷子になりにくい」と担当者は話す。
落とし物検知し情報共有
また、北陽電機(大阪市西区、尾崎仁志社長)も、AMR「WizURG(ウィズアージ)」を屋外でテスト走行させて、会場の落とし物検知に挑戦した。ウィズアージには同社が設計、開発した複数のセンサーが搭載されている。本体上部にあるレーザー測定技術「LiDAR(ライダー)」の2D版で人を認識し、下部にある3Dライダーで落とし物を認識する。「無線通信で他のAMRと人の位置や落し物の位置を共有できる」と経営企画本部R&D室の和田史彦主任は言う。将来的には、落とし物を拾う機能を備えたAMRとの連携を検討している。
ロボット&モビリティステーションの建屋内では、宇都宮大学計測・ロボット工学研究室が開発した空中ディスプレー搭載のAMR「SignageBot(サイネージボット)」や、宇都宮大学発のベンチャー企業REACT(リークト、宇都宮市陽東、中村克社長)が開発した倉庫や工場などでの重量物搬送を想定したAMR「陽馬(ひるめ)」など、さまざまなAMRの走行デモが来場者に披露された。
PADや北陽電機、宇都宮大学、リークトは「中之島ロボットチャレンジ」に参加する企業として出展した。中之島ロボットチャレンジとは、AMRを大阪市中央区の中之島地区にある歩行者天国エリアのコースで自律走行させて、ごみの発見、回収などの課題をこなす大会のことだ。