既存ラインを変えずに協働ロボットを導入/ファナック 山口賢治 社長兼CEOインタビュー
ファナックの山口賢治社長兼最高経営責任者(CEO)は「生産現場の合理化が以前にも増して重要になってきた」と話す。同社はこれまで、工場建屋の建設などを積極的に進めてきた。それが一段落し、現在は現場の合理化による生産効率の向上に力を注ぐ。安定供給と生産力の増強が特に必要だった商品は複数拠点での生産体制を整え、逆に複数の建屋に分散していた部品製造は集約を図った。自社商品のサーボモーターやコントローラー、協働ロボット、IoT(モノのインターネット)システムなどを活用して生産現場の自動化や効率化を推進し、併せてそれらを顧客にも提案する。
※この記事は「月刊生産財マーケティング」2025年4月号特集「今こそ『作り方改革』を」に掲載した内容に加筆し、再編集したものです。
生産を2拠点化
――まずは御社の生産体制の概要を教えてください。
生産拠点は山梨県忍野村の本社工場、栃木県壬生町の壬生工場、茨城県筑西市の筑波工場、鹿児島県霧島市の隼人工場の4カ所です。この10年間、NC装置(工作機械用の制御装置)やサーボモーター・サーボアンプ、産業用ロボットについては「生産の2拠点化」を進めてきました。より安定した供給体制の構築と生産力の増強が目的です。工作機械のNC装置やロボットの制御装置は、本社工場に加えて壬生工場でも生産しています。サーボモーターやサーボアンプも本社と壬生の2カ所です。ロボットは本社と筑波の2拠点で製造しています。
――それら商品の生産能力は?
NC装置やロボット用制御装置の月産能力は本社工場で2万3000台、壬生工場で1万6000台です。サーボモーターは本社工場が毎月12万台、壬生工場が10万台。ロボットは本社が月産7400台、筑波工場が月産8000台です。これらの商品は生産能力を増強しましたが、筑波工場で生産する小型切削加工機「ロボドリル」は過去のEMS(電子機器の製造受託サービス企業)向け特需に対応するため保有した生産能力を適正化しました。月産5000台から2500台へと減らし、その分のリソースをロボット生産に回しました。その他、電動射出成形機「ロボショット」とワイヤ放電加工機「ロボカット」の生産能力は本社工場でそれぞれ月産600台と月産150台です。
――現在の生産状況は?
市況は国内も国外もまだら模様で、堅調な地域や産業もあれば、いま一つ勢いのない所も多くあります。全体としてはそこまで活況期ではありませんので、各商品の生産能力には余裕があります。今後については、一時期過剰だったロボットの在庫が適正水準に戻るなど、明るい兆しもあります。
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