
[気鋭のロボット研究者vol.15]ロボの危険性を可視化する【前編】/埼玉大学大学院 琴坂信哉准教授
安全柵なしで使える協働ロボットや、現場を行き交う無人搬送車(AGV)の普及が広がり、作業時の人とロボットの間隔は以前よりも格段に近くなった。その分、ロボットが人に危害を加える危険性も高まった。危険への対処は、現状ではシステム構築者の感覚に頼らざるを得ない。そこで琴坂信哉准教授は危険性を論理的に解析しようと取り組む。
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安全柵なしで使える協働ロボットや、現場を行き交う無人搬送車(AGV)の普及が広がり、作業時の人とロボットの間隔は以前よりも格段に近くなった。その分、ロボットが人に危害を加える危険性も高まった。危険への対処は、現状ではシステム構築者の感覚に頼らざるを得ない。そこで琴坂信哉准教授は危険性を論理的に解析しようと取り組む。
ロボットの目、視覚センサーの研究をする田崎豪准教授は、カメラを使って自動車や無人搬送車(AGV)の自動運転を目指す。一般的に使われる3次元の地図データだけではなく、先端に取り付けたカメラ映像を組み合わせて、障害物を検知する。従来の方法に比べ、手間やコストを抑えられるという。
自動運転の研究を続ける田崎豪准教授は、名城大学で視覚センサーを取り付けた垂直多関節ロボットの研究に着手する。人工知能(AI)が処理しやすいシステムを作り、ロボットが知らない物でも、どうつかめばいいかを判断できる。形の決まった製品をつかむ工場内での搬送だけでなく、食品や物流などさまざまな品物のある分野にも応用できるという。
関西大学の高橋智一准教授は、物を吸い着ける方法として負圧に着目し、使い勝手のいいグリッパーを研究する。タコの吸盤を模したグリッパーを紹介した前編に続き、後編では極小の弁(マイクロバルブ)を使ったグリッパーを紹介する。軟らかい物でもつかみやすく、落としにくい構造で、医療関係者も関心を寄せる。
関西大学の高橋智一准教授は、ものを吸い付ける負圧に注目し、汎用性の高いグリッパーを研究する。2つのグリッパーの研究に取り組み、前編ではタコの吸盤にヒントを得たグリッパーを紹介する。固いものも軟らかいものも、平面でも曲面でもつかめ、固いものなら最大5kg程度までハンドリングできる。
産業用ロボットをさまざまな場面で使うには、単にプログラミングされた動作を正確にこなすことだけではなく、環境の変化に柔軟に対応する適応性も求められる。小林祐一准教授は、センシング技術や制御技術を生かしてロボットの適応性を高める研究に取り組む。後編では、力覚センサーから得られる測定データを基に、ドアの形状や構造をロボットに推定させ、最適な開閉の動作をさせる研究を紹介する。
最近は深刻な人手不足を背景に、産業用ロボットの活躍の場が急速に広がっている。だが、ロボットをさまざまな場面で使うには、単にプログラミングされた動作を正確にこなすことだけではなく、環境の変化に柔軟に対応できるような適応性も求められる。小林祐一准教授は、センシング技術や制御技術などを生かしてロボットの適応性を高める研究に注力する。前編では、あいまいな自然言語を協働ロボットに認識させる研究を取り上げる。
近年、ロボットの性能向上や適用範囲の拡大により、ロボットへの教示(ティーチング)作業を簡単にする技術へと注目が集まる。前田雄介准教授は、ロボットの制御ソフトウエアを軸に、教示を容易にする技術を研究する。直近では、無人搬送車(AGV)や「お掃除ロボット」といった移動式ロボット向けの技術を、固定した産業用ロボットに応用する。
近年、ロボットの性能向上が目覚ましい。それに伴い、ロボットに動作を教える教示作業も難しくなる。またロボットの適用範囲の拡大により、現場の担当者がロボットを教示できない事例も増えている。そんな時代にこそ、「ロボットの教示作業を簡単にする技術が必要」と前田雄介准教授は研究に取り組む。
「人の生活と作業を支援するメカトロニクスシステム」をテーマに、センサーで周囲を認識して動く支援ロボットの開発を手掛ける飛田和輝准教授。後編では「センサーで測る」からもう一歩踏み込み、ロボットが人の行動を認識し、次の動作を予測して先回りして動く技術の研究を取り上げる。人とロボットが「あうん」の呼吸で連携する協調作業を目指す。