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2026.10.29
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[SIerを訪ねてvol.70]シミュレーションと経験で生産効率が高いシステムを/ROBO TAC

ロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)を紹介する連載企画「SIerを訪ねて」。今回はロボットの販売からシステムの構築まで手掛けるROBO TAC(ロボタック、愛知県あま市、多々良師孝社長)を訪問した。シミュレーションソフトや長年のノウハウを武器に、自動車産業で豊富な納入実績を持つ。近年は、幅広い産業に裾野を広げるべく、パッケージシステムの販売や自動化が手付かずだった工程への提案、生成人工知能(AI)技術への対応にも力を注ぐ。

(平川一理:ロボットダイジェスト編集部)

アーク溶接やスポット溶接が得意

 ROBO TACは1991年、産業用ロボットの販売代理店として創業した。トヨタグループの車両メーカー、トヨタ車体(愛知県刈谷市、松尾勝博社長)にロボットを納めたのがきっかけで、周辺設備を含めたシステム構築へと事業を拡げてきた。

 現在は産業用ロボットなどの販売をはじめ、ロボットシステムの構想設計から製作、据え付け、アフターサービスまで一気通貫で対応する。取り扱うロボットはファナックや安川電機、不二越、ダイヘン、ABBなど多岐にわたる。

あま事業所の外観。愛知県あま市と豊明市に自社工場を持つ

  東海3県の自動車産業を主な顧客に持ち、アーク溶接システムやスポット溶接システムを得意とする。同社では安全柵で囲った1区画にロボットが最大5台稼働する構成を1セルと設定。今年8月末時点の納入実績はアーク溶接システムで約430セル、スポット溶接システムで約130セルに上る。ロボットの累計販売台数は約5400台を超える。

 多々良社長は「長年お客さまと共に工程作りに携わってきた経験から、導入先の工程だけでなく、その前後の工程や周辺設備まで提案できる。溶接条件や品質面まで踏み込めるノウハウがあると自負している」と力を込める。

強みはロボットシステムの事前検証

多々良師孝社長(=写真左)と営業部の松田剛部長

 こうした実績を支えるのがシミュレーションによる事前検証だ。多々良社長は「当初は自社工場を持たず、協力会社に製作を委託していた。トヨタ車体がロボットシミュレーターを導入していたこともあり、わが社でも自社工場を持つより先にロボットシミュレーターに投資して知見を積んできた」と振り返る。

 事前検証の核となるのはフランスのダッソー・システムズのロボットシミュレーター「DELMIA(デルミア)」をはじめとした汎用ロボット・シミュレーション・ソフト。
 デルミアは完成車メーカーも使う高精度なソフトで、メーカーを問わず複数台のロボットの動きを同時に確認できる。多々良社長は「生産ラインには複数メーカーのロボットが混在し、中には中古のロボットを組み込みたいとの要望もある」と説明する。

 営業部の松田剛部長は「シミュレーションによる詳細な検証と長年の経験から、生産効率がより高い設備計画を提案できるのが強み。わが社が保有するレーザースキャナーでお客さまの製造現場を計測して点群データを取り込めば、より実態に近い状況を再現して検証できる」と説明する。

 同社では11人の技術スタッフのうち5人が検証や設計を担当し、残り6人がシステムの製作や据え付け、ティーチング(教示)などを担う。

 シミュレーションの検証結果は3D動画にして顧客に示す。紙の図面よりもロボットの動きが伝わりやすく、「一度の確認で承認をいただける」と多々良社長は胸を張る。

ノウハウを生かして新分野にも

使用済みの医療器具を仕分けるロボットシステムの開発に取り組む

 主な取引先である自動車業界は100年に一度の大変革期にある。同社は自動車以外の売り上げ比率を高めようと、事業の幅を広げている。
 創業35年を迎えた今年2月には社名を「タック」から現在の名称に改め、ロボットを扱う会社であることを前面に打ち出した。

 多々良社長は「新しい社名には、自動車業界以外にも顧客の裾野を広げ、ロボットに関わる自動化全般に対応するとの思いを込めた。工程間でモノを移動させる『横持ち』搬送を低コストで自動化するために、サービスロボットの取り扱いを始めたのも取り組みの一環」と話す。

鉗子(かんし)は閉じた形状で登録し、開いた状態でも同様の器具と認識できるようにプログラミングした

 現在、アーク溶接やスポット溶接、プラズマ切断のパッケージシステムの提案を強めている。
 松田部長は「一口にアーク溶接のロボット化と言っても、架台やジグ(補助具)の設計、溶接ヒューム(蒸発した金属が微粒子化したもの)を吸引する局排装置の設置、安全対策など、決めなければならない仕様がたくさんある。自動化に初めて挑戦するお客さまも、パッケージの内容を見れば必要な設備を絞り込め、具体的なゴールを描きやすい」と語る。

 協働ロボットを組み込んだアーク溶接システムも用意し、手作業で小型の金属部品を溶接してきた中小の加工業者に訴求する。

 一方、自動化がある程度進んだ企業には、手付かずだった工程の自動化を提案する。その一つが、費用対効果が見合わず自動化が進まなかったばら積みピッキングだ。中国のMech-Mind(メックマインド)の3Dビジョンを使ったシステムを構築できる体制を整えた。

 また、これまで人手に頼ってきた領域の自動化にも挑む。安川電機と洗浄装置メーカーのサクラ精機と共同で、手術で使った医療器具を仕分けるロボットシステムの開発に取り組む。
 松田部長は「AIでロボットを自律的に動かす『フィジカルAI』の広がりを見据え、オープンソースに対応した制御プログラムを組めるSIerを目指す。まずは、汎用のプログラミング言語『Python(パイソン)』を使える人材の育成に力を注ぐ」と意気込む。

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