[SIerを訪ねてvol.62]福岡から世界進出を目指す/第一施設工業
第一施設工業(福岡県新宮町、松村幸司社長)は検査や梱包、溶接など多岐にわたる自動化システムの構築をこれまでに手掛けてきた。また、独自の製造工程管理システムで自動化システムの稼働状況を可視化することで、稼働効率の向上も提案する。日本ではなじみが薄い海外メーカーのロボットのシステムインテグレーションや保守を得意とする点も強みの一つだ。これまでに得た技術や実績を武器に、今後は海外への本格進出を目指す。
幅広い対応範囲
モニタリングも提案
同社は製造工程管理システム「DSSC」を2020年に独自開発し、構築した自動化システムの効率的な運用をできるようサポートする。DSSCは「ダイイチ・スマート・システム・コントロール」の頭文字を取ったもので、自動化システムの稼働状況や製品の品質に関する情報などを可視化できる。
また、遠隔で状況のモニタリングができるため、製造現場にいなくてもチョコ停(短時間の設備停止)などの現場で発生した異常を見つけ出せる。「無人搬送車(AGV)やコンベヤーのような搬送機器の稼働状況を管理するのに向いている」と清原さんは言う。
他にも垂直多関節ロボット向けに、自動化システムの安定稼働を支援するリモート監視サービス「D-CONNECT(Dコネクト)」も提案する。
プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)を制御するラダープログラムを専用機器で常時モニタリングすることで、設備の稼働状況をリアルタイムで把握できる。どのデバイスがどの工程でエラーを起こしているかを即座に確認でき、早期の初期対応を可能にする。これで、設備の停止時間を従来比最大70%削減した事例もあったという。
また、Dコネクトは稼働データを継続的に収集し、分析することで設備の経年劣化を推測できる。経年劣化をあらかじめ把握することで、最適な予防保全が可能になる。現場にメンテナンス専門のスタッフがいない場合でもリモートでサポートサービスを提供し、電気制御エンジニアにかかる業務負荷の軽減と安定した自動化システムの運用体制の構築を支援する。