[2023国際ロボット展リポートvol.11] 独自色を出すSIer【後編】/三和ロボティクス、HCI、日本ロボットシステムインタグレータ協会
2023国際ロボット展(iREX2023)にはメーカーや商社だけでなく、ロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)も出展した。展示リポートvol.10に引き続き、vol.11でもSIerの展示を紹介する。工作機械向けの独自開発のシステムや、製造業向けの清掃ロボットや配膳ロボットなど、SIerの提案は多種多様だ。また会期最終日の土曜日には会場内で、SIerの団体が主催する学生向けイベントも開催された。
多品種少量生産の自動化を実現/三和ロボティクス
三和ロボティクス(長野県飯田市、沢宏宣社長)は、工作機械へのワーク(被加工物)着脱に特化したパッケージ仕様のロボットシステム「NEXSRT(ネクサート) V16」を展示した。
ブラザー工業の小型5軸マシニングセンタ(MC)「U500Xd1」専用のシステムで、不二越の12kg可搬の垂直多関節ロボットが着脱作業を担う。
一般的にはMC側のテーブルにバイス(ワークを載せる固定器具)を取り付け、ロボットがそのバイスにワークを供給する方式のシステムが多い。これに対し、ネクサートV16はワークを載せたバイスそのものをロボットで交換する方式を採用した。
付属のストッカーにあらかじめバイスをセットすればワークの品種が変わってもバイスを手動で付け替える必要がなく、多品種少量生産でも自動化しやすいのが特徴だ。
沢社長は「1台でさまざまな加工ができる『工程集約』が可能な5軸MCとネクサートV16を組み合わせれば、多品種少量生産の自動化を実現できる」と述べる。
製造業向けに清掃や配膳のロボット提案/HCI
「無人でラーメンを作る屋台」が最優秀賞に/2023ロボットアイデア甲子園
ロボットSIerの全国団体である日本ロボットシステムインタグレータ協会(SIer協会、会長・久保田和雄三明機工社長)は、iREX2023の会場内で「2023ロボットアイデア甲子園」の全国大会を開催した。
ロボットアイデア甲子園は、高校や高等専門学校(高専)などの学生がロボット活用のアイデアを競うイベントだ。
今年度は全体で1100人を超える応募があった。全国大会では、各地で開かれた地区大会を勝ち上がった25人がプレゼンテーション形式で、自慢のアイデアを発表した。大学教授やロボットメーカーの代表者らが審査をした結果、「Ramen Robot(ラーメンロボット)“大将”」を考案した熊本高等専門学校3年の鍋島優羽さんが最優秀賞に輝いた。
同アイデアはラーメン屋台に産業用ロボットを組み込むもので、無人で稼働し、ロボットがラーメンを作る。「ロボットが屋台の大将の動きをまねるのは、客の興味を引く。さらにそれを海外に展開する。日本を代表する文化となったラーメンの本場の味を海外に広めたい」との鍋島さんの力説が、審査員の心に響いた。
SIer協会の久保田会長は「ビジネス面でもよく練られたアイデアだった。私もこのロボットで一旗揚げたい」などと称賛した。
(松川裕希、桑崎厚史、西塚将喜)
                            
            
            
            
            
