[SIerを訪ねて vol.25]使いやすく、導入しやすい提案を/JRC
全国のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)を紹介する本連載。今回取材したJRC(大阪市西区、浜口稔社長)は、システムインテグレーション(SI)事業のブランド「ALFIS(アルフィス)」を2018年に立ち上げ、SI事業に力を入れる。自社工場で培った自動化のノウハウから、「使いやすく、導入しやすい、高品質なロボットシステム」をテーマに自動化ソリューションを開発・提供する。誰でも使いやすいユーザーインターフェースと、費用を抑えた導入しやすいパッケージシステムで自動化の裾野を広げる。
強みはパレタイズとピッキング
常川陽介ロボットSI事業本部長は「アルフィスを設立して5年弱になるが、ロボットを使った自動化の新規相談は年間で100件以上いただく」と話す。 案件を数多くこなすことでシステム構築の経験値を積んだ。標準化できる領域を増やしたことで、導入費用を抑えられる。主な顧客層である中小企業は、コストが導入の妨げになりやすいため、コスト面からのアプローチは重要なポイントだ。 「コストの他にロボットを設置するスペースも導入のネックになりやすい。これまでの経験を基に、省スペースなプランを提案できる」と強みを口にする。
スイスのメーカーと国内独占契約
ピッキングには、スイスのデモレのロボットを採用する。デモレは高速ピック・アンド・プレース用途のパラレルリンクロボットを世界で初めて商品化したメーカーだ。 JRCはデモレのロボットを日本国内で独占販売しており、同社の技術力と安全性の高さを生かしたピッキングシステムを提案する。 これまでJRCが担当した案件の中で最大規模のものが、製菓工場でのラングドシャ(薄いクッキー)のピッキングだ。ベルトコンベヤーからバラバラに流れてくるラングドシャをピッキングし、ベルトコンベヤーの隣にある生産ラインに整列させる。高速ピッキングを得意とするデモレ製パラレルリンクロボットの特徴を生かしたシステムだ。 後工程でチョコ停(小さなトラブルによる一時的な設備停止)が発生した際に、その信号を受けて搬送対象物(ワーク)を仮置きする「バッファー機能」を搭載する。ワークを一時的にバッファーコンベヤーへ退避させ、チョコ停の解除後にバッファーからラインへ供給することで、ワークのロスを削減できる。