[特集FOOMA JAPAN]序論:ロボットが食品産業を救う
「ロボットが食品産業を救う」、この表現は決して誇張ではない。厚生労働省の統計では、人手不足の指標である欠員率が製造業全体の2倍以上の数値となるなど、食品産業の人手不足は深刻だ。また食品産業は巨大な市場を持ちながらも、まだまだロボットが普及していないため、ロボット関係の事業者はこの商機を逃すまいと食品向け提案に力を入れる。その最先端の提案が一堂にそろうのが、7月9日~12日に東京で開かれる食品機械の専門展「FOOMA JAPAN(国際食品工業展)2019」だ。
右肩上がりの食品製造市場
食品、化粧品、医薬品は「三品(さんぴん)産業」と呼ばれる。まだまだロボット活用が進んでおらず、経済産業省が2016~18年に実施した「ロボット導入実証事業」などさまざまなところで「今後ロボットを普及させるべき分野の一つ」として挙げられている業界だ。 三品産業の中でも人々の生活に欠かせないため、特に大きな市場を持つのが食品産業だ。市場規模は自動車産業に次ぐとも言われる。5月28日に発表された「平成30年度食料・農業・農村白書」では、2017年の概算値で食品製造業の国内生産額は37兆7000億円、関連流通業は32兆4000億円、外食産業は28兆9000億円だった。外食産業は店舗で食材を調理することもあるが、チェーン店ではセントラルキッチン(集中調理施設)で大量生産することが多く、ここも自動化のターゲットになりえる。 食品製造業、関連流通業、外食産業の合計生産額は、12年には89兆5000億円だったが、5年後の17年には99兆円となった。少子高齢化が進む中、多くの産業で国内市場の縮小が懸念されるが、食品産業は右肩上がりを続ける。