「私、重い部品も持てます」、力持ちなヒト型の双腕協働ロボット/東芝機械ソリューションフェア2019
東芝機械が双腕型の協働ロボットの開発を進めている。5月23日~25日に開催したプライベートショー「第17回東芝機械グループソリューションフェア2019」に開発中の双腕型協働ロボット2機種を参考出展し、大きな注目を集めた。双腕型の協働ロボットはロボットメーカー数社がすでに製品化しているが、東芝機械が開発するロボットは他の製品よりも可搬質量が大きい。製品化されれば、双腕型協働ロボットの新たな用途開拓につながりそうだ。
過去最多の昨年を1000人上回る来場者
一つは“腰が折れる”ロボット
協働ロボットは人間の近くで作業をする前提のため、出力を高められず、可搬質量の小さな製品が多い。特に双腕型の協働ロボットは0.5~3kg可搬のものが大半で、小型の電子機器の組み立てなどに用途が限られていた。しかし、「より重い物が扱えればとのニーズはあった。そのため、可搬質量の大きな機種を開発している」(担当者)と言う。 双腕型のため両手を駆使して、従来の垂直多関節ロボットよりも複雑な組み立て作業ができる。可搬質量が大きいため、金属部品も扱いやすい。 動きの自由度が高い分、動作を入力するティーチングが難しくはなるが、作業者の負担を軽くするために直感的に扱える専用のソフトウエアも合わせて開発している。
もう一つはスカラをベースに
もう一機種は、同社が得意な水平多関節(スカラ)ロボットをベースにした。大型のスカラロボット2台を搭載したような見た目。可動範囲は水平方向に300mm、垂直方向にも300mmと広い。 ヒト型同様、片腕6kg、両腕10kg可搬と、双腕型協働ロボットの中では可搬重量が大きい。 実演ではタブレット型パソコンを箱詰めし、運搬用のケースに入れる作業をした。ロボットハンドを付け替え、運搬用ケースの組み立てや、ケースをコンベヤーに載せる作業もこなす。 現状では人の接近に反応してロボットの動作を止める人感センサーなどの安全装置を搭載しておらず、厳密には協働ロボットではない。またスカラロボットの良さである動作の速さと、人の近くで作業するための安全性の両立が難しく、今後の課題という。開発担当者は「来年のソリューションフェアには、参考出展ではなく『新製品』として展示できるよう開発を急ぐ」と意気込む。