鍵は「大量」と「簡単」。物流自動化の最新トレンド
東京都江東区の東京ビッグサイトで1月19日~22日、ロボット関連の専門展など複数の展示会が同時開催された。注目を集めたのは物流関連の自動化だ。新型コロナウイルス禍でインターネット通販などの活用が広がり、物流現場の負担が増加した。従来から続く人手不足などの問題も深刻さを増している。それに対して、出展各社は処理能力の高いシステムや、誰でも簡単に扱える自動化機器などを提案をした。
3.7mの棚ごと動く
まずは従来よりも「量」を重視した提案だ。中国に本社のある物流向けロボットメーカー、ギークプラス(日本法人=東京都港区、佐藤智裕社長)は「スマート物流エキスポ」に出展し、大型の無人搬送車(AGV)や搬送物の取り出し装置などを組み合わせたシステム「ポップピック」を日本で初披露した。 同社は、棚や荷役台(パレット)の下に潜り込んで搬送するAGVの一種、自動棚搬送ロボット「EVE(イブ)」シリーズを展開する。新たに搭載質量が最大1200kgの「P1200R」をラインアップに追加。あわせて、従来比で2倍近い高さ3.7mの専用棚や、高い専用棚から搬送物を取り出せる専用のステーションを開発し、それらの組み合わせをポップピックとして提案した。 佐藤社長は「大容量の自動倉庫と、容量は小さいが倉庫内のレイアウト変更などを柔軟にできる棚搬送型AGVの2つが物流自動化の潮流だった。ポップピックは大容量と柔軟さの両方を実現できる。膨大な物量に苦慮する顧客が多いので、少しでも貢献できれば」と話す。 日本では今年の春から夏にかけての発売を目指す。
パレットごと扱う自動倉庫
オカムラは昨年9月に発売した新製品「CYBISTOR Ⅱ(サイビスター2)」を出展した。 サイビスター2はパレットごと保管できる自動倉庫のようなシステム。大型のラックと、その内部を前後左右に走行してパレットを搬送する独自開発のAGV、上下昇降装置を組み合わせた。パレットに載せた搬送物の入出庫を自動化し、煩雑になりやすくスケジュール調整の難しいフォークリフト作業を大幅に削減する。 担当者は「フォークリフト用の通路が不要で、高所にも格納できるため、一般的なパレットラックよりも格納効率が約2倍に向上する。飲料メーカーの発送前の保管庫などでは採用実績も増えている」と話す。