生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2024.10.25

連載

[ロボットが活躍する現場vol.42]高いハードルを乗り越えて溶接を自動化/いしぐろ造形工房

自動化の高いハードル

いしぐろ造形工房の本社外観

 溶接の自動化システムを構築する上で溶接条件の可視化に苦心した。いしぐろ造形工房に溶接の作業者は8人いるものの、溶接方法がそれぞれ異なる。「適切なトーチの送り速度や角度の数字を作業者自身も分かっていないが、溶接ができている状態だった」と振り返る。そのためそれらのパラメーターの可視化に時間がかかったという。

 また、加工する板金の中には表面が既にメッキ処理されたものもある。メッキ処理された薄板を溶接するとスパッタ(熱せられた金属の粒を指す)が多く発生するため、スパッタの発生を抑えられる溶接条件を見つけるのにも苦労した。

いずれは技術共有を

「わが社と同じように人手不足で悩む企業に自動化のノウハウを共有できるようになりたい」と金田和歌社長

 現在は1回の稼働につきワークの溶接は1個までだが、連続で3個まで溶接できるよう改良を進める。また、長尺ワークの自動溶接システムの構築も検討している。溶接の自動化が軌道に乗れば、板金の曲げ加工や抜き加工の自動化も視野に入れる。

 「ロボットによる自動化のノウハウをためることができたら、それを抱え込むのでなく、同じく人手不足に苦しむ企業に共有していきたい。そのためのラボを設立するのが将来の目標」と金田社長は意欲をにじませる。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)

TOP