[ショールーム探訪vol.30]ボリュームアップして新大阪にリニューアルオープン!/山善「協働ロボットテストラボ」
3つのルームでロボットに触れる
協働ロボットテストラボは、「ワークテストルーム」「トレーニングルーム」「コミュニティスペース」と3つのエリアに分かれる。移転前のテストラボは各ルームを隔てる間仕切りがなかったが、スペースを拡張したことでそれぞれのルームを個室化した。個室にしたことで機密性が向上し、複数の企業が同時に利用できるようになった。
ワークテストルームには台湾の協働ロボットメーカーであるテックマンロボットの「TM12S」を置き、動作速度や可搬重量などを導入前にテストできる。
ロボットだけでなく3Dプリンターも常設しており、把持対象物(ワーク)に合わせたハンド用の爪やジグ(加工物を固定するための補助器具)などを作れるため、実際の導入環境に近い条件を用意する。
内覧会では3Dプリンター製のワークの位置出し用ジグやハンド用の爪を付けたTM12Sがワークをつかんで別の場所へ移すデモを披露した。
ルーム内には複数台のカメラがあり、テストラボへの来場が難しい顧客でもWeb会議システムなどを通じてワークテストの様子を見られる。
トレーニングルームは2部屋用意し、テックマンロボットの協働ロボット「TM7S」と「TM5-700」を置く。「協働ロボットのプログラミングは産業用ロボットと比べて容易とはいえ、機械を適切に動かすためのトレーニング自体は必要になる」と植島技術サポート部長。
テックマンロボットは日本法人が存在せず、メーカーによるアフターサポートが難しいため、山善が同社製の協働ロボットを購入した顧客を対象に、操作トレーニングを実施する。操作トレーニングだけでなく、同社製品の修理といったメンテナンスにも対応するため、サポート体制は万全だ。
産業用ロボットや協働ロボットのティーチング(教示)などをする担当者に受講が義務付けられている「産業用ロボット安全特別教育」も、導入企業向けに近日中に実施できるようにする予定だ。
コミュニティスペースでは、協働ロボットの操作体験ができる。同スペースに常設する協働ロボットは、①人工知能(AI)を搭載するテックマンロボットの「TM7S」②直感的な操作が可能なファナックの「CRX-10iA」③センサーを6つの関節に搭載し、精密作業を得意とするABBの「GoFa(ゴーファ)」④双腕で人間のように作業できるABBの「YuMi(ユーミィ)」――と特性がさまざまだ。
ロボットの操作体験だけでなく、ロボット、周辺機器メーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の情報交換をするコミュニケーションの場としても活用する。
メーカーやSIerだけでなく、顧客ともコミュニケーションを重ね、新たな要素技術の開発につなげることもテストラボの目的の一つだ。今後は金属加工業に加え、三品業界(食品・化粧品・医薬品業界)や建設機械、自動車などさまざまな分野への自動化提案に注力する。
「今期はTFS支社として、協働ロボットの受注台数を前期比140%に増やしたい。そのために、今期はテストラボへの来社数100社を目指す」と植島技術サポート部長は意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)
[取材記者から]
2年ほど前、取材で本社1階にあったショールームに訪れたことがあった。その時よりスペースが広くなったのはもちろんのこと、製品を見せるだけのショールームの枠を飛び越えてさまざまな提案ができるようになったことが印象的だった。新大阪から徒歩で行ける場所にラボを移転したことからも、同社の自動化提案に対する熱量の高さを感じられた。
施設概要
名称:協働ロボットテストラボ
所在地:大阪市淀川区
所在地の詳細や見学予約については協働ロボットテストラボの特設ホームページから