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2024.08.09

[ショールーム探訪vol.26]機械商社という殻を打ち破れ!/中央工機「クリエイトスペース」

通い箱のパレタイジング

ムジンの AGVが、床面に貼り付けた2次元バーコードを読み取って走行する

 クリエイトスペースから西に自動車で約20分進むと、のどかな田園風景の中にNESの建物が見えてくる。ショールームに入ると、すぐに目に飛び込んできたのが、3台のMujin(ムジン、東京都江東区、滝野一征最高経営責任者)の無人搬送車(AGV)を使ったデモだ。
 専用の制御ソフトウエアで複数のロボットを同時に動かす群制御されたAGVが、床面に貼り付けた2次元バーコード(QRコード)を読み取って走行する。床面にQRコードを貼るだけなので、生産ラインのレイアウト変更にも対応しやすい。
 「ムジンのAGVは群制御に特化しており、床面に貼り付けた2次元バーコードに沿って、とにかく早く動かせるのが強み。ムジンのAGVもスタンダードロボットのAMRもそれぞれに特徴があるので、お客さまの用途に合わせて提案したい」と中村係長は話す。

 さらに奥に進むと、URが昨年11月に発表した30㎏可搬の協働ロボット「UR30」を使ったパレタイジングやデパレタイジングの自動化システムも展示されていた。20㎏の重りが入った「通い箱」と呼ばれるコンテナの積み付けや積み下ろしを自動化する。
 「中部地域は自動車関連企業が多く、通い箱のパレタイジングやデパレタイジングの自動化の需要は大きい」と中村係長は話す。

腰が砕けそうになりながらも20㎏の重りを持ち上げる記者

 中村係長から「実際に持ってみますか?」と勧められ、記者も20㎏の重りが入った通い箱を持ち上げることに。「やっぱり重い!」の一言に尽きた。腰が砕けそうになり、「力仕事は全部ロボットに任せたい」と思ってしまった。
 中村係長は「UR30はURの製品ラインアップの中では最大の可搬重量を誇り、重量物のパレタイジングやデパレタイジングに向く」と語る。

 また、ねじ締めもUR30の特徴を生かせる用途の一つだという。今回のデモではUR30が通い箱のパレタイジングやデパレタイジングをした後、ハンドチェンジャーを介してエスティック(大阪府守口市、鈴木弘英社長)のねじ締めツールに交換し、ねじ締めの動作も実演した。
 中村係長は「UR30とエスティックのナットランナーと組み合わせることで、自動車のエンジン部品の組み付けに必要な200N(ニュートン)の力をカバーできる」と述べる。

工場関連設備の売上高を約3倍に

黒川学社長(前方左)、企画本部の高見和孝本部長(前方右)、中村真那斗係長(後方左)と営業革新課のメンバー

 中央工機は今後2年以内に、工場設備関連の売上高を現在の約3倍の60億円まで伸ばす計画だ。
 現状の工場設備関連の売上比率はまだ1割強だが、今後の需要拡大が見込まれる物流市場、中でも工場内物流の自動化システム提案を重点的に強化し、そのウエートを引き上げるという。

 「クリエイトスペースをリニューアルオープンしてから多くのお客さまに来場いただいたが、まだまだ機械商社とのイメージが払拭できていない」と黒川社長と語る。機械商社という殻を打ち破ってSIerとしての存在感や認知度も高めるためにも、引き続き技術力の向上や展示会などでのPRに力を入れる構えだ。
                    (ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)

[取材記者から]
中村係長はクリエイトスペースに展示された自動化システムの内容を熱心かつ丁寧に説明してくれた。協働ロボットとAMRそれぞれの能力を存分に生かした展示だと感じた。また、黒川社長の「このままでは中央工機の存在意義がなくなる」との言葉も印象的で、SIerとしての機能をこれから本格的に強化したいとの決意も強く感じられた。


施設概要
名称:クリエイトスペース
所在地:愛知県安城市小川町金政63-1
予約連絡先:(TEL)052-889-1711

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