生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2023.11.01

変化に対応できる組織に/川崎重工業 坂東賢二ロボットディビジョン長

ものづくりに真摯に取り組む

――御社のロボットディビジョンの強みを教えてください。
 当社が陸海空に事業領域を持つ総合重工メーカーである点です。バイクや造船などの多様な社内事業が顧客となることで、幅広い事業での経験を積めます。それに加えて、技術開発本部を中心とした幅広い技術の蓄積があるなど、そこの強みは他社にはないと思います。他には、手前みそではありますが、真摯(しんし)で丁寧なものづくりも強みの一つです。

――「真摯で丁寧なものづくり」について詳しく教えてください。
 世間では、ものづくりそのものより、きらりと光るアイデアの方が評価されがちです。しかし、わが社は品質を保ちながら量産に対応するなど、ものづくりに対し真摯(しんし)に取り組むことが大切だと考えてきました。もちろん、アイデアをおろそかにはできません。当社からアイデアを提案しつつも、われわれと異なる視点のアイデアを有するスタートアップ企業などと協業すれば面白い取り組みができるのではないかとも考えています。

――最後に、ロボットディビジョンの課題を教えてください。
 冒頭の組織体制の強化の話にもつながるのですが、課題は事業を進めるスピード感です。ロボット業界に限らず、世間のスピード感は何倍にも早くなっています。例えば、黒電話は普及に数十年かかりましたが、スマートフォンは3、4年であっという間に普及しました。そういう世の中に私たちは生きているので、そのスピード感にどう付いていくかが非常に重要と考えています。それには、足並みをそろえ、目的に向かってスピーディーに動けるメンバーと体制が必須です。

(聞き手・八角 秀、写真・斉藤拓哉)

ばんどう・けんじ
1992年川崎重工業入社、ロボットビジネスセンターFAシステム部システム一課長などを歴任。2016年精密機械カンパニーロボットビジネスセンターFA・クリーン総括部FAシステム部長。19年カワサキロボティクスGmbH取締役社長兼カワサキロボティクスUK取締役社長。23年4月から現職。1969年生まれの53歳。

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