[SIerを訪ねてvol.38]地元販売代理店とコラボで導入拡大/エヌテック
URの認定SIerに
港産業はURの協働ロボットの代理店のため、エヌテックもURの協働ロボットを自動化システムに組み込むことが増えた。エヌテックはURのロボットを扱う頻度や使いこなす技術力が上がっていき、昨年1月には徳島県初の「認定SIer」となった。 「ロボットハンドはわが社で設計、開発しているため、技術力を評価されたのではないか」と島田主任はいう。 港産業と手を結んだことで、エヌテックは食品業界や医薬品業界に対しても自動化システムを納入できるようになった。食品業界では、精肉加工機器の刃の部分を取り外して研磨機に移す自動化システムを、医薬品業界では製品の箱詰めとパレタイズをする自動化システムを導入した実績がある。
自動化需要は業界問わずある
エヌテックの前身であるプレス機メーカーの長尾鉄工所は、ロボットによる自動化に需要があると見越し、プレス機に内蔵する搬送ロボット「ERロボット」を1985年に発売した。ERロボットは加工対象物(ワーク)を隣接するプレス機に搬送するのが特徴。その後、1990年代にSIer事業を本格的にスタートした。 「90年代はERロボットが一番の売れ筋製品だったが、2000年代から汎用性の高い垂直多関節ロボットを導入する顧客が増えていった」と振り返る。「港産業とコラボしたことで、ロボットによる自動化の需要がさまざまな業界にあると知れた」と島田主任は話す。今後は三品業界(食品・化粧品・医薬品業界)への納入件数の増加を目指す。 納入実績が増える中で、島田主任は今後の課題として技術の伝承を挙げる。SIer事業に携わるのは8名で、およそ40年前から在籍する社員が核となっている。「自動化システムは基本的に一品一様で、それを作り上げるには高い技術力が必要になる。技術伝承の仕組みを構築することは非常に重要な課題」と先を見据える。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)