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2023.03.29

産業用ロボット工場をリニューアル、工程間搬送にAMRを導入/ダイヘン

あえてロボットを置きすぎない

5台のロボットが役割分担しながらロボットアームの下腕を組み立てる(提供)

 工場全体で20台弱の垂直多関節ロボットが稼働しており、各工程に数台を配置している。同工場はロボットを年間1万2000台以上生産していることを考えると決して多いとは言えない。

 柳川課長は「1台のロボットにねじ締めや組み立て、搬送など複数の役割を持たせることで、設置台数を絞った」と語る。あえてロボットの台数を絞ったのには理由がある。同工場は、主に自動化に関心を持つ顧客に向けて見学会を実施しており、製造現場の自動化を提案する場でもある。「ロボットを導入するコストの高さに頭を悩ませる製造現場は少なくない。設置台数が少なくても効果が大きいことを知ってもらいたい」と力を込める。

自動化が難しい工程にも挑戦

ダイヘン六甲事業所の外観

 今回は組み立てエリアから検査エリアまでの工程間搬送をリニューアルしたが、今後は完成したロボットの検査の自動化を目指す。柳川課長は「来年度中には検査ブース内でのケーブル接続などを自動化できるめどが立っている」という。

 ケーブルの挿入は力加減の調節がシビアになることに加えて、位置精度の高さも求められるため、自動化の難易度が高い。柳川課長は「自動化のハードルを下げられるよう、ロボットの設計を見直しながらこの工程の自動化に取り組みたい。夢みたいな話ではあるが、いつかロボットの無線化を実現できれば」と展望を語る。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)

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