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2021.12.22

樹脂製減速機をロボ部品にテスト販売/スターライト工業

ロボットの価格低減に一役

トライボロジーカンパニー開発営業2部の佐藤英一部長(右)と宮本鉄平さん

 エスベアDDは高性能な樹脂製減速機だが、歯車の強度や寸法精度では金属製に劣る。そのため、極端に負荷の大きい歯車や、時計部品のような小さな歯車には適さない。
 開発営業2部の宮本鉄平さんは「ロボットには多くの減速機が使われているが、比較的負荷の軽い領域では、金属製減速機ではオーバースペックで、樹脂製のメリットの方が大きい可能性がある」と言う。

 佐藤部長は「多くのロボットメーカーでは制御技術やソフトウエアの開発に力を入れており、一つ一つの要素部品の検証には手が回っていないのではないか」と話し、宮本さんも「ロボットの普及にはロボットの価格を安くすることが絶対的に必要。適切に樹脂製に置き換えることで価格低減に貢献できる」と続ける。
 顧客が性能評価をしやすいよう、大手メーカーの製品の外形寸法に合わせて設計した。従来、減速機が収まっていた場所にそのまま置き換えられる。

いずれ要素部品が重要になる

断面モデルでは樹脂製の歯車が見える

 同社は樹脂製品メーカーとして1936年に創業し、独自の材料を開発をしながら、軸受けや歯車などの機能部品を製造してきた。80年代には既存のエンジニアリングプラスチックを独自の味付けで改良し、OA機器や自動車などで金属部品からの置き換えを進めてきた。
 樹脂製減速機の開発には2000年ごろからトライし、波動歯車方式の減速機がロボットの関節部品に採用された実績もある。

 トライボロジーカンパニーは、摩擦や摩耗を扱うトライボロジー技術を基礎とするビジネスを担い、同社の売り上げの約半分を占める。エスベアDDがトライボロジーカンパニーの新たな事業の柱となると期待する。
 「将来、ロボットメーカーの研究開発の対象が要素部品に移る可能性は高い。その時にエスベアDDが有力候補でありたい。前段階として、試験販売を通じて実際に搭載した場合の評価を進め、採用実績を作ることが必要だ。多くのパートナーに評価してもらうため、減速機を含む各種ユニットを開発、提案したい」と佐藤部長は力を込める。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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