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2019.04.01
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[SIerを訪ねてvol.6]人材育成に力を入れる専業SIer【後編】/高丸工業

開発の対象はハードからソフトへ

 RTCは16年に、株式会社ロボットテクニカルセンター(兵庫県西宮市、高丸正社長)として法人化した。その翌年の17年12月にRTC東京を開設。そして19年2月には3拠点目のRTC東海を、フランチャイズ形式で岐阜市に開設した。フランチャイズの拠点には本部であるロボットテクニカルセンターから教材などを提供する。  「今後は直営とフランチャイズを使い分けながら、少しずつ拠点を増やしたい」と語る高丸社長。拠点を増やすことで受け入れられる受講者の数を増やし、より多くの人材を教育できるようにする。同社の29人の社員のうち10人がインストラクターの資格を有し、同社が取り扱う全てのメーカーのティーチング技術を持つ。  高丸社長は「ロボット業界はパソコン業界の後追いをしている」と考える。現在は開発の対象がハードからソフトに移りつつあり、今後さまざまな用途が開発されると見る。  人工知能の進歩によりプログラムの柔軟性が高まり、より一層多品種少量生産に対応しやすくなるだろう。高丸社長は「そういった時代の変化に対応できる人材を、社内外で育成しなければならない」と話す。

ロボットが人に代わる時代が来る

講習で小型ロボットを実際に使い、実務能力の向上を図る

 また、「SIerは現場を知ることが基本」と高丸社長は話す。  「溶接をしたことがない人がいい溶接ロボットシステムを作れるとは思えない」と言う。同社は今、外注している部品の機械加工を社内でこなすために工作機械の導入を検討しているが、背景には工作機械でワークを付け外しするロボットが増えていることがある。  「やはり、工作機械の周辺でロボットを利活用するシステムを作るなら、もっと工作機械を知らなければならないと思った」と高丸社長は話す。  高丸社長は「日本人はロボットの活用が上手。例えば、中国では多数のロボットが稼働しているが、日本人がティーチングしたものはそれとなく分かる」と話す。また、「欧米では宗教的な理由で、ロボットが人に取って代わることに抵抗があるようだ」と言う。かといって、近い将来、世界的に人手不足が深刻化するのは間違いない以上、ロボットの利活用は産業を維持する鍵になる。今後も技術を磨けば、日本の国際的な競争力の源泉になる可能性があると高丸社長は考える。  同社では大物ワークを中心に溶接やハンドリングなどの自動化を得意とし、クライアントは大手重工メーカーから中小企業まで幅広い。高丸社長は「ロボットの用途は本来、人がするあらゆる仕事。それなら、SIerは業種を問わず対応できるのがあるべき姿だと思う」と持論を語る。今後、ニーズの拡大に応じてロボットの用途は増えると予想され、できるだけ幅広く対応できる体制を整えたいという。

――終わり (ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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