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2018.11.14
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[注目製品Pick Up!vol.2]業界最大35kg可搬はだてじゃない/ファナック「CRシリーズ」【前編】

既存の現場を変えずに導入できる

人と同じ空間で働くCRシリーズ

 一般的な産業用ロボットは安全柵などで囲って使うため、大きな設置面積が必要になる。これまで人手でやっていた工程をロボットに置き換えようと思うと、設備の配置や生産ラインの大幅な見直しが必要だ。  一方、柵なしで人と同じ空間で働けるCRシリーズなら、既存の生産現場をあまり変えずに導入できる。  「まずは1台だけ導入するスモールスタートが可能で、有効性を確認したら台数を増やすこともできる。生産現場の環境を自動化対応させるハードルが高いと感じていた企業にもお使いいただければ」と稲葉専務は言う。

まずは最大機種からラインアップ

35kg可搬の「CR-35iA」

 CRシリーズのラインアップは、4kg可搬の「CR-4iA」、7kg可搬の「 CR-7iA」、同じく7kg可搬でアームが長い「CR-7iA/L」 、15kg可搬の「CR-15iA」、35kg可搬の「CR-35iA」の5機種。  2015年にまず35kg可搬の機種を発売し、翌年や翌々年にかけてより小型の機種をそろえた。  他メーカーでは10kg程度の可搬重量の協働ロボットが多く、ここまで可搬重量の大きい製品は他にない。

可搬重量の大きなものは難しい

CR-35iAと人の協働作業

 「協働ロボットは、可搬重量の大きいものの方が開発が難しい」と稲葉専務は言う。    協働ロボットは人に接触した場合、即座に停止する必要があるが、重い物を持てるパワーと、少し触れただけで止まる敏感さを両立することは難しい。  35kg可搬の協働ロボットに適した感度のセンサーが世の中に存在していなかった。そこで、必要なセンサーの開発から自社で取り組み、数年間かけて製品化した。  センサーの感度を上げると、電気的なノイズを拾いやすくなる。また、製造工程も複雑になる。「これら課題の解決に、長年の自社のセンシング技術、電気技術、製造技術が生かされた。CRシリーズの開発はロボット事業本部だけでなく、制御装置を手掛けるFA事業本部、加工機のロボマシン事業本部、そして製造統括本部が手を組んでの全社プロジェクトだった」と稲葉専務は話す。  「35kg可搬の協働ロボットはまさに全社一丸の『ワンファナック』で開発した商品」と稲葉専務は自信を見せる。

――後編に続く (ロボットダイジェスト編集部)

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